Apple、新型MacBook Proを発表 M5チップでAI性能3.5倍に進化、価格は据え置き

2025年10月15日(米国時間)、米Appleが最新プロセッサー「M5」を搭載した14インチの新型「MacBook Pro」を発表した。AI処理性能が前世代比で最大3.5倍に向上しながら、価格は据え置きの1599ドル(日本では税込24万8800円)からとなる。
M5チップ搭載でAI性能が飛躍 MacBook Proが一新
Appleが発表したM5チップは、10コアCPUと10コアGPUを備え、各GPUコアに「Neural Accelerator(ニューラルアクセラレーター)」を内蔵した新設計となる。これにより、AI処理能力はM4比で最大3.5倍、初代M1比では最大6倍の高速化を実現した。
GPU性能も向上し、プロ向けアプリのグラフィックス処理は最大1.6倍、ゲームのフレームレートも同程度向上するという。
Appleは同時に「iPad Pro」や「Vision Pro」ヘッドセットにもM5を採用しており、AI処理を軸にしたエコシステムの拡張を進めているとみられる。
M5搭載MacBook Proは16GBのRAMと512GBのSSDを標準装備し、ストレージは最大4TBまで拡張可能。
SSD性能は前モデル比で最大2倍に向上しており、大容量の動画や3Dデータを扱うユーザーにとっては大きな改善点となる。
デザイン面では、14.2インチのLiquid Retina XDRディスプレイ(解像度3024×1964ピクセル)を継承。外観に大きな変更はないが、性能面では内部アーキテクチャを刷新し、よりプロユースに耐える仕上がりとなっている。
Xcodeでのコードビルドが最大1.2倍、Blenderでの3Dレンダリングが1.7倍高速化されており、開発者やクリエイターの生産性向上が期待できる。
生成AI時代の「仕事マシン」へ 性能進化がもたらす新たな競争
M5チップを搭載した新型MacBook Proの最大の利点は、AI処理能力の飛躍的な向上にある。
GPUコアごとにNeural Acceleratorを実装するという設計は、生成AIや機械学習といった新世代のワークロードに最適化された構造であり、オンデバイスでの推論処理を高速かつ安定的に実行できる点が強みだ。特にクラウド依存を減らし、ローカル環境でAIモデルを動かせることは、開発者やクリエイターにとって即応性とセキュリティの両立をもたらす。
加えて、価格を据え置いた戦略は普及を後押しし、AppleのAIエコシステム拡大に寄与するだろう。
一方で、発熱や電力消費の課題は依然として残る。
Appleはバッテリー駆動時間の向上を強調していないが、M4モデル時点で最大24時間の稼働を実現しており、日常利用には十分な水準を維持している。今後は、AI処理のさらなる高速化とエネルギー効率の両立が求められるだろう。
M5チップの投入により、Appleは「AIネイティブなPC市場」の本格開拓に踏み出したと言える。
生成AIを前提とした開発・制作環境が進化する中、MacBook Proがその中心的なプラットフォームとして再び存在感を高める可能性がある。
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