YouTube、青少年向けメンタルヘルス専門セクションを開設 うつ病やADHDなどの信頼情報を一元表示

2025年10月15日、YouTubeは10代向けにメンタルヘルスやウェルビーイング関連の動画をまとめて表示する新機能を発表した。日本を含む主要国で順次導入し、若年層が信頼できる情報を安全に得られる環境づくりを進める方針だ。
YouTube、うつやADHDなどの悩みに対応する青少年専用機能を導入
YouTubeは、10代ユーザーのメンタルヘルス支援を強化するため、信頼性と年齢適合性を基準に選定した動画を専用セクションで表示する機能を公開した。
対象となるのは、うつ病、不安症、ADHD、摂食障害などの主要な精神的課題に関するテーマであり、利用者が適切な情報に容易にアクセスできる仕組みを整えた。
この取り組みは、日本、米国、英国、フランス、ドイツなど複数の国で数週間以内に順次展開される予定である。YouTubeは各国の専門機関と連携し、エビデンスに基づいた情報を提供する方針を示している。
日本では、国立健康危機管理研究機構 国立国府台医療センターが協力し、動画制作会社と共同で新たなパペットキャラクターを活用した動画を制作した。
同センター副院長の河合啓介医師は「若者にとって最も身近なプラットフォームである YouTube が、専門的な医療への確かな「架け橋」となることを切に願っています。」とコメントしている。
YouTubeはこれまでも、医療従事者の資格表示パネルや健康関連セクションなどを通じ、信頼できる情報へのアクセス改善を図ってきた。
また、Youth and Families Advisory Committeeと協力して摂食障害を助長するコンテンツへのガイダンス強化など、青少年保護と信頼性確保の取り組みを進めている。
情報リテラシー育成の一助に 安心と自立支援の両立が課題
今回の機能拡充は、10代がSNS上で不確かな健康情報に触れるリスクを軽減し、信頼できる知識を得るきっかけを与える点で大きな意義があると言える。
検索から正確な医療情報へ自然に導く設計は、誤情報対策としても効果を発揮するだろう。
一方で、コンテンツ選定における国や文化の違いへの配慮も欠かせない。メンタルヘルスの表現や受け止め方は地域によって異なるため、グローバル展開には継続的な監修体制の維持が求められると予測できる。
また、動画プラットフォームとしてのアルゴリズムが、専門的な情報よりも娯楽性の高い動画を優先表示する懸念も残る。
さらに、ユーザー自身の情報リテラシーを養うことも不可欠であろう。信頼できる情報を「提示するだけ」でなく、自分で選び取る力を育てる仕組みが伴わなければ、機能の実効性は限定的になる可能性がある。
総じてYouTubeの新たな試みは、技術と公共性の接点を模索する動きとして評価できる。
今後は教育現場との連携や、AIを活用したモニタリングの高度化など、テクノロジーと社会的支援を融合させた展開が期待される。