インスタ、10代の閲覧制限を強化 米映画協会基準導入で不適切投稿を非表示に

2025年10月14日、米メタ(Meta)はInstagramのティーン向けアカウントに米国映画の年齢制限基準を導入し、過激な言葉や危険行為を含む投稿を非表示にする新仕様を発表した。
保護者が設定を管理できる機能も拡充し、米国など4か国で順次展開を開始する。
PG-13基準で10代保護を強化、AIにも年齢制限を適用
メタはInstagramの10代利用者向けアカウントを刷新し、18歳未満のユーザーを自動的に「13歳以上」設定へ移行させる決定をした。
保護者の許可がなければ解除できず、米映画協会のPG-13(※)に準じた内容に制限される。
強い言葉遣いやリスクの高い行為、マリファナ関連の投稿などは非表示、または推奨の対象外となる。
新設定では、検索で「アルコール」「ゴア」などの語句をブロックし、不適切なアカウントはフォロー・DM送信・コメントの閲覧ができなくなる。
AIによるチャット機能もPG-13基準に準拠し、年齢不相応な回答や表現を抑制する。
また、保護者が設定を細かく管理できる「コンテンツ制限」機能も拡充する。
米国の保護者を対象とした最近のIpsos調査では、96%がこの機能を「有用」と回答したという。
さらに、親子双方が安心して使える環境を目指し、監督ツール経由で不適切投稿を報告できる機能もテスト中だという。
これらのアップデートは米国、英国、オーストラリア、カナダで段階的に実施され、年末までに完全に展開される。その後グローバル展開もされる予定だ。
※PG-13:米映画協会(MPA)が設定する年齢区分で、13歳未満には保護者の助言を推奨する作品に適用。SNSでは青少年保護の基準として転用される。
過剰規制への懸念も、親子の信頼回復と健全利用へ一歩
今回の取り組みは、SNS上での有害情報から青少年を守るという観点で評価できる。
家庭の価値観に合わせて「コンテンツ制限」設定を選べる点も、親の安心感を高める効果があるだろう。
保護者が不適切投稿を通報し、審査結果を通知される仕組みは、企業と家庭の協働的ガバナンスの一形態とも言える。
ただし、過度な自動制御が若者の表現機会を奪う可能性も否定できない。
AIが「安全」を優先しすぎることで、社会問題やジェンダー、文化的テーマなどの重要な議論まで遮断されるリスクがある。
今後は、AI判定の透明性や、ユーザーが学びながら判断力を育む設計が鍵となるだろう。
SNSが「監視」ではなく「支援」の道具として進化するかどうか、今回の制度変更はその試金石となりそうだ。