KDDI、ローソン店舗でスマホ・バッテリー回収実証へ 改正資源法を見据えた先行対応

2025年10月14日、KDDIは茨城県守谷市内のローソン2店舗で、リチウムイオン電池内蔵製品の店頭回収を開始すると発表した。環境省の実証事業として行われる先行施策である。
KDDIとローソン、リチウム電池製品の店頭回収を共同で実施
KDDIは、環境省が主導する「令和7年度リチウム蓄電池等適正処理対策検討業務」の一環として、ローソン店舗での回収実証事業に参画する。
守谷市のローソン松並庚塚店と守谷大柏店に温度・重量センサーを搭載した回収ボックスを設置し、スマートフォン、モバイルバッテリー、加熱式たばこなどを対象に回収を行う。
この取り組みは、2026年4月施行予定の改正資源有効利用促進法に対応するものである。
改正後、リチウムイオン電池内蔵製品は「指定再資源化製品」に追加され、メーカーや輸入販売業者に自主回収が義務づけられる見通しだ。
背景には、リチウムイオン電池による火災事故の多発がある。
2020年から2024年の5年間で全国1,860件の事故が報告され、そのうち約85%が火災に関連していた。ごみ処理施設での発火や車両火災が相次ぎ、自治体の安全対策が急務となっている。
本実証は、ローソン守谷松並庚塚店で2025年10月15日開始、守谷大柏店は12月中旬開始予定で、2026年1月31日まで行われる予定だ。なお、年末年始(12月26日〜1月4日)は回収休止となる。
本件は三菱総合研究所が事務局を担当し、自治体・事業者と連携した実施体制を整える。
KDDIは2005年から携帯電話のリサイクルを継続しており、再資源化率99.8%という実績を持つ。今回の実証で得られるデータをもとに、ローソンをはじめとする小売店舗との連携拡大を検討し、地域密着型の資源循環モデルの構築を進める方針である。
循環と安全の両立へ 地域密着の新モデルが生む波及効果
KDDIの取り組みは、法対応にとどまらず、リチウムイオン電池を巡る社会的課題への実践的な解答となるかもしれない。
消費者が日常的に利用するコンビニでの回収は利便性が高く、廃棄時の誤分別を減らす効果が期待できる。自治体施設だけに頼らない分散型の回収モデルとして、地域の安全管理体制にも寄与するだろう。
また、希少資源であるリチウムやコバルトなどの再資源化を進めることで、国内サプライチェーンの強化にもつながり得る。リサイクルによる資源循環は、脱炭素社会の構築や鉱物資源の安定確保にも波及する可能性がある。
一方で、消費者の回収意識を高めるための啓発活動や、回収ボックス設置コストの負担分担など、運用面での課題も残る。特に全国展開を想定する場合、地域特性に応じた仕組みづくりが求められるだろう。
今後は、KDDIが持つリサイクルの知見を活かしつつ、ローソンや自治体、環境省との連携を深化させることが重要になりそうだ。
資源循環と安全確保を両立するこのモデルが全国に広がれば、持続可能な社会インフラの形成に向けた一歩となるだろう。