リップル社、バーレーン政府系フィンテックと提携 ブロックチェーン推進

2025年10月9日、米リップル社はバーレーンの政府系フィンテック拠点「バーレーン・フィンテック・ベイ(BFB)」と戦略的提携を締結したことを発表した。
ドバイに続く中東での拠点拡大となり、同国のブロックチェーン産業基盤の形成を後押しする狙いだ。
リップル、BFBと提携しブロックチェーン実証や人材育成を推進
リップル社は、金融機関向けデジタル資産インフラのリーディングカンパニーとして、バーレーンの主要フィンテック支援機関であるBFBと包括的なパートナーシップを締結した。
BFBは政府機関や金融機関と連携し、同国のフィンテックエコシステムを育成する中核的存在である。
両者は、ブロックチェーンやデジタル資産、ステーブルコイン、トークン化などに関する実証実験(PoC)やパイロットプロジェクトを共同で推進する計画を掲げている。
さらに、教育プログラムやアクセラレーター(※)での協力、現地イベントへの参加を通じ、産学官を横断した知識共有を促進する方針だ。
リップル中東・アフリカ地域マネージングディレクターのリース・メリック氏は「バーレーン王国は、ブロックチェーン技術の早期導入国として台頭し、暗号資産を規制した世界初の法域の一つです」と述べ、協業の重要性をアピールした。
同氏は、将来的に同国の金融機関向けにリップル独自のカストディソリューションおよびステーブルコイン「Ripple USD(RLUSD)」の提供も視野に入れているという。
BFBのCOO、スージー・アル・ジーラ氏も「今回の提携は、バーレーン・フィンテック・ベイがグローバルなイノベーターと現地エコシステムを結びつけ、パイロット事業の機会創出、人材育成、そして金融の未来を形作る最先端ソリューションの提供に取り組む姿勢を反映したものだ」と述べ、地域における競争力強化への期待を示した。
リップルは2025年3月にドバイ金融サービス庁(DFSA)からライセンスを取得しており、中東での存在感を増している。
※アクセラレーター:スタートアップの成長を支援する集中型プログラム。資金・メンタリング・ネットワーク提供などを行う。
中東での規制整備進展 リップルの戦略的布陣が鮮明に
今回の提携は、バーレーンが「中東の金融ハブ」としてデジタル経済への転換を加速させる象徴的な動きである。国としてブロックチェーン技術を制度面から支援し、海外企業を積極的に誘致する姿勢が明確になったと言える。
リップルの参入により、国際的な信頼性を担保したインフラが整備されれば、他国の金融機関に波及する可能性も高まるだろう。
一方で、リップルにとっては複雑な規制構造が課題となりそうだ。
中東各国では暗号資産関連法制の整備段階に差があり、共通基準の確立には時間を要する見込みだ。
しかし、同社が複数国でライセンスを取得してきた実績は、今後の地域連携を進める上で強力な交渉材料となるだろう。
中東全体でブロックチェーン実装が進む中、リップルの技術が送金や資産管理などの基盤インフラとして採用されれば、同地域の金融ネットワークはより透明で効率的なものへと変化するかもしれない。
今回のバーレーン進出は、その布石となりそうだ。