エアークローゼット、生成AIによる「AIスタイリストアシスタント」を導入 初回コーディネートの自動対話化を実現

2025年10月9日、株式会社エアークローゼット(東京都港区)は、月額制ファッションレンタルサービス「airCloset」に生成AIを活用した新機能「AIスタイリストアシスタント」を導入したと発表した。
明治大学・高木友博教授の研究室と共同で開発したもので、初回コーディネート時の方針確認を自動化する。
生成AIで初回コーディネートの方針確認を自動化
エアークローゼットは、登録時にユーザーが入力する体型や好み、ライフスタイルなどの情報をもとに、生成AIがユーザーとの対話を通じてコーディネート方針をすり合わせる機能「AIスタイリストアシスタント」を導入した。
本機能は、同社データサイエンスチームと明治大学・高木友博教授率いる研究室との共同研究によって開発されたもので、ファッション分野における産学連携型AIシステムの社会実装事例である。
AIがユーザーの要望や表現を理解し、スタイリストとの初期合意形成を支援するものであり、現在特許出願中の技術である。
従来、初回コーディネート方針の確認はスタイリストが手作業で行っていたため、1往復のやり取りに限られることが多く、情報の取りこぼしが課題だった。
AIスタイリストアシスタントでは、初期対話をAIが代替することで、やり取りの即時化と正確性を高め、スタイリストの業務負担軽減にもつなげる。
本機能は、AIが自動でコーディネートを行うものではなく、スタイリストが提案を行う前段階の対話プロセスを補完する位置付けだ。
なお、エアークローゼットは本取り組みで「日本DX大賞2024」のCX部門優秀賞を受賞しており、ファッション業界における顧客体験向上の試みとして評価された。
AIと人の協働で顧客体験を拡張 課題は嗜好理解と精度維持か
AIスタイリストアシスタントの導入は、顧客対応の効率化と初回体験の満足度向上を両立させる取り組みといえる。
初期対話をAIが担うことで、登録件数が増加しても対応速度を保てるほか、スタイリストはより創造的な業務に集中できるようになるだろう。
また、ユーザー側にとっても、自身の好みを自然言語で入力するだけでコーディネート方針を明確化できる点は、利便性が高いと考えられる。
初回利用時の不安を軽減し、サービス継続率を向上させることにも寄与しそうだ。
一方で、AIが抽象的な嗜好や文脈的ニュアンスをどこまで正確に理解できるかについては懸念が残る。
ファッション分野では感性や流行性といった非定型情報が多く、AIによる自動処理には限界があるため、同社はあくまで「人とAIの協働」に重きを置いているのだと思われる。
また、生成AIにはバイアスや誤出力のリスクが伴うため、今後はモデルの継続的な検証とデータ品質管理が欠かせないだろう。
AIがファッション提案の起点を担い、人間が最終判断を下すという分業体制が確立すれば、ファッションテック領域におけるAI応用の新たな標準モデルになる可能性がある。
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