AIフュージョンキャピタル、BitGoと提携 企業向けデジタル資産管理を推進

2025年10月9日、東証スタンダード上場のAIフュージョンキャピタルグループは、デジタル資産インフラ企業ビットゴー(BitGo)との戦略的パートナーシップを締結したと発表した。
一般企業のウォレット導入支援や、国内カストディ事業の共同展開を視野に入れている。
AIフュージョン、ビットゴー技術を活用し企業向けウォレット事業を強化
AIフュージョンキャピタルは、グループのWeb3事業を統括する完全子会社ミライキャピタルホールディングス(MCH)を含め、ビットゴー(BitGo)との包括的な協業体制を構築する。
ビットゴーは米国を拠点に900億ドル(約13.3兆円)超の資産を管理する世界最大級のカストディ企業(※)である。
今回の提携では、AIフュージョンが一般企業向けにウォレット導入を支援し、企業が自社で発行するトークンや暗号資産を安全に管理できる環境を提供する。MCHの専門チームがビットゴーの技術を活用して導入を支援することで、暗号資産管理のハードルを大きく下げる狙いだ。
さらに、両社は「カストディ事業の国内共同展開に係る検証」にも着手する。
将来的にはMCHが暗号資産交換業の登録を完了した後、ビットゴーのセキュリティ体制を基盤とした国内企業向けの資産保管サービスを展開する構想である。
これにより、発行企業が資産を自ら管理する負担を軽減し、法令順守のもとでデジタル資産を安心して活用できる仕組みを整える。
また、AIフュージョンはすでに進めている暗号資産運用事業にもビットゴーのウォレットサービスを導入し、グループ全体の資産保全体制を強化する方針を示した。
同社は2025年3月にビットコインへの投資を開始し、これまでに3億円で24.63449278BTCを取得している。
※カストディ:暗号資産や証券などのデジタル資産を第三者が安全に保管・管理するサービスのこと。
用語集:web3
企業のWeb3進出を後押し 安全性向上と規制対応が焦点か
AIフュージョンとビットゴーの提携は、国内企業にとってデジタル資産活用への道を広げる契機となるだろう。
従来、暗号資産の保管や運用はセキュリティ面の不安から導入が進みにくかったが、ビットゴーの国際的な管理技術を活用することで信頼性の高い環境が整備される。これにより、企業が資金調達やトークン発行を行う際の実務的な障壁が下がり、Web3関連の新規事業創出が加速する可能性がある。
一方で、国内でのカストディ事業展開には金融庁の厳格な登録・監督体制が求められる。
AIフュージョングループはMCHを通じて暗号資産交換業の登録を目指しているが、法規制対応や顧客資産の分別管理など、クリアすべき課題も多い。
特に、海外基準の技術を国内法に準拠させるための制度設計には時間を要する可能性がありそうだ。
今回の提携は、国内における「企業向けWeb3インフラ」の整備を加速させる起点になると考えられる。AIとブロックチェーンを組み合わせた次世代金融の構想が実現すれば、国内の金融機関や上場企業にも波及するだろう。
今後の制度整備と市場の成熟が、この提携の成果を左右すると言える。
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