メタマスク、無期限先物取引を提供開始 Polymarket統合で予測市場もウォレット内完結

2025年10月8日、米コンセンシスはWeb3ウォレット「メタマスク(MetaMask)」において、無期限先物取引機能を正式に導入したと発表した。
さらに、予測市場プラットフォーム「ポリマーケット(Polymarket)」との統合計画および新報酬制度「メタマスク・リワーズ」の詳細も明らかにした。
メタマスク、DEX基盤で無期限先物取引を実装 報酬制度と統合計画も公表
メタマスクの開発元であるコンセンシスは、分散型取引所「ハイパーリキッド(Hyperliquid)」を基盤とした無期限先物取引(※)機能を提供開始した。
これにより、ユーザーはウォレット内から直接デリバティブ取引を行えるようになった。
新機能は、EVM(イーサリアム・バーチャル・マシン)互換チェーン間での資金移動をワンクリックで実行できるほか、スワップ手数料の無料化やレイテンシー(通信遅延)の大幅改善を特徴としている。
再設計されたモバイルアプリでは操作性も向上し、許可地域においてはメタマスクが初の無期限先物対応セルフカストディ型ウォレットとなった。
あわせて、年内を目途に予測市場「ポリマーケット(Polymarket)」との独占統合が予定されている。
この統合により、ユーザーはスポーツ、政治、暗号資産などのオンチェーン予測市場へ直接アクセス可能となる見通しだ。
さらに、コンセンシスは取引活動に応じてポイントを付与する報酬制度「メタマスク・リワーズ(MetaMask Rewards)」を10月末までに開始する計画を発表した。
リワードプログラムは3カ月ごとのシーズン制で運用され、第1期には3,000万ドル(約45億円)相当のリネア(LINEA)トークンが配布される予定である。
※無期限先物取引(Perpetual Futures):満期日が設定されていないデリバティブ(金融派生商品)取引。資金調達率(Funding Rate)により価格を現物資産と連動させる仕組みを持つ。
分散型金融エコシステム拡大へ 利便性と規制対応の両立が焦点か
今回のアップデートは、メタマスクを「資産保管から運用へ」と進化させる重要な転換点となり得る。
ウォレット内で取引から報酬獲得まで完結できる点は、既存の中央集権型取引所に対して高い競争優位性をもたらすと考えられる。
特に、スワップ手数料の無料化や即時決済などの改善は、ユーザーエクスペリエンス向上に直結する要素となるだろう。
一方で、無期限先物取引の提供は、法的な整理や規制遵守の面において課題がありそうだ。
地域制限の厳格化やKYC(本人確認)の導入範囲拡大など、ユーザーアクセスを制約する懸念も残る。
とはいえ、予測市場との統合やリワード制度によって、メタマスクはWeb3エコシステム全体を巻き込む循環型の成長戦略を描いていると言える。
分散型金融(DeFi)領域におけるユーザーの定着率向上や、セルフカストディの主流化を促す動きとして、今後の市場動向に注目が集まりそうだ。
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