デフコンサルティング、イーサリアムを20億円追加取得 暗号資産運用を本格化

2025年10月7日、東証グロース上場のデフコンサルティングは、暗号資産イーサリアム(ETH)を約20億円分追加取得したと発表した。
9月に続く2回目の購入で、保有総額は25億円に拡大。暗号資産トレジャリー事業の本格始動を印象づける動きとなった。
デフコンサル、ETH保有総額25億円に 方針転換後わずか3週間で再取得
デフコンサルティングは10月7日、2,826.016306ETHを約20億円で取得したと公表した。平均取得単価は70万7,710円で、9月22日に続く2度目の購入となる。
これにより同社の保有量は3,618.095514ETH、取得総額は25億円に達した。平均取得単価は69万971円としている。
同社は9月17日、暗号資産トレジャリー事業の対象をビットコイン(BTC)からイーサリアム(ETH)へ転換する方針を発表していた。この判断は、市場の動向や競合環境、そしてイーサリアムを巡るグローバルな開発潮流を踏まえて行われたという。
今回の追加取得は、同社が単なる投機目的ではなく、長期的な資産運用の一環として暗号資産を位置づけていることを示す。取得したETHの一部はステーキング(※1)に活用し、安定した利回り(インカムゲイン)を狙う方針も明らかにした。
取得方法にはドルコスト平均法を用いるとされ、価格変動リスクを抑制しながら運用基盤を固めていく構えだ。
※1 ステーキング:ブロックチェーンの取引検証やブロック生成に資産を預け、ネットワーク運営に貢献することで報酬を得る仕組み。
https://plus-web3.com/media/staking/
企業財務の新潮流か ETH活用で分散型資産運用モデルへ
デフコンサルティングによるイーサリアム(ETH)の追加取得は、企業財務戦略の多様化という観点で大きな意義を持つ。
最大のメリットは、資産ポートフォリオの分散によるリスクヘッジ効果にある。従来の現預金や株式に加え、暗号資産という新たなアセットクラスを組み込むことで、インフレや金利変動といったマクロ経済リスクへの耐性が高まる可能性がある。
また、ETHをステーキングに活用することで、保有資産から安定的な利回りを得る仕組みを構築できる点も魅力だ。
一方で、デメリットも少なくない。
まず、ETH価格のボラティリティが高く、評価損益が企業決算に直接影響するリスクが存在する。さらに、暗号資産の会計処理は国内基準でいまだ曖昧な部分が多く、減損リスクや税務上の複雑さが残る。
また、ブロックチェーン上でのステーキング運用にはスマートコントラクトリスク(※2)が伴い、技術的な脆弱性が企業財務に影響を及ぼす可能性も否定できない。暗号資産を保有する意義が中長期的に企業価値向上へつながるかどうかは、依然として市場と制度環境に左右される段階にあると言える。
デフコンサルティングの動向は、今後の上場企業におけるデジタル資産運用モデルの試金石になるとみられる。
今後は、他の上場企業が追随するか否かが、2026年以降の企業財務モデルの方向性を左右する分岐点になるだろう。
※2 スマートコントラクトリスク:ブロックチェーン上で自動実行される契約(スマートコントラクト)に不具合や脆弱性がある場合、ハッキングや資産流出などの被害が発生する可能性を指す。
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