金融庁、日本語版サイトにAI翻訳機能導入 英語情報発信を強化

2025年10月9日、金融庁は、同庁ウェブサイトの日本語版にAI翻訳機能を搭載したと発表した。これにより、利用者は一部ページを除き英語表示可能となり、国内外の利用者に情報が届きやすくなる。
金融庁ウェブサイト、AI翻訳で英語閲覧に対応
金融庁は、公式ウェブサイトにおいてAI翻訳機能を導入し、日本語ページを英語に変換できるようにした。
利用者はページ右上の「Language」ボタンから「Machine translation」を選択することで、英語翻訳を閲覧できる。従来の英語版ウェブサイトへの移行も「Global Site」から可能である。
今回の導入により、報道資料や政策発表、ガイドラインなどの主要コンテンツを、ほぼリアルタイムで英語圏ユーザーへ届けられる環境が整った。
ただし、PDFや画像データなどのHTML外コンテンツ、また金融庁設立以前の資料や特設サイトの一部は翻訳対象外とされる。
金融庁は、翻訳結果について「AIを利用した機械翻訳であり、一定のルールに基づいて機械的に訳出が行われますので、内容が正確であるとは限りません」と注意を促している。公式文書としての正本は日本語版であり、翻訳はあくまで参考として提供される位置づけだ。
今後も金融庁は英語による情報発信体制の拡充を進めていく方針である。
AI翻訳導入の効果と課題 国際発信強化と正確性の両立
AI翻訳導入により、金融庁の情報は海外の利用者に迅速に届きやすくなるメリットがある。特に英語圏の金融機関や海外投資家にとって、政策変更や市場関連情報をリアルタイムで把握できる利便性は高い。
ウェブサイト運営側にとっても、手作業で翻訳する負荷を軽減できる効果が期待される。
一方で、AI翻訳の限界も無視できない。自動生成による表現の誤訳やニュアンスのずれが生じる可能性があり、誤解による混乱や投資判断への影響リスクは残る。
また、対象外コンテンツの存在により、情報の完全な英語化には依然として制約がある。
今後は専門用語や金融規制文書に対応した翻訳精度の向上が不可欠であり、段階的な改善が求められるだろう。ユーザーからのフィードバックを反映し、品質評価や改善プロセスを整備することも重要である。
長期的には、AI翻訳機能の活用が金融庁の国際的プレゼンス向上に寄与し、海外市場との情報連携がより円滑に進むと思われる。翻訳精度と迅速性のバランスをどのように維持するかが、今後の運用における焦点となるだろう。











