戸田建設・JTB・富士通、NFTで観光DXを推進 越前市で訪日客向け実証開始

2025年10月7日、戸田建設、JTB、富士通の3社は、福井県越前市でNFT(非代替性トークン)を活用した観光DXプロジェクト「ECHIZENクエスト」を11月から翌年1月末まで実施すると発表した。
訪日外国人観光客の誘致と地域活性化を目的に、デジタル技術で伝統文化体験を拡張する。
越前市の伝統工芸をNFTで体験化 3社連携の観光DX実証始動
戸田建設株式会社(東京都中央区)、株式会社JTB(東京都品川区)、富士通株式会社(神奈川県川崎市)の3社は、福井県越前市を舞台にNFTを活用した観光DX実証「ECHIZENクエスト」を開始する。
期間は2025年11月から2026年1月末までを予定している。
越前市は北陸新幹線の延伸によりアクセスが向上し、訪日外国人を含む観光客の増加が見込まれている。
「ECHIZENクエスト」は、越前和紙や越前打刃物、越前漆器などの伝統工芸やモノづくりを巡る体験型コンテンツであり、参加者は体験を通じてNFTを受け取れる。
NFTには越前市ゆかりの紫式部が描かれ、観光体験の証として機能するだけでなく、地域への支援やお土産との交換が可能になる。
また、将来的には地域内での支払い手段や特典付与に活用できる仕組みの構築を目指す。
戸田建設は事業全体の統括を担い、JTBが観光商品の造成やプロモーションを担当、富士通はNFT発行および技術支援を行う。
3社の知見を融合し、観光体験の高度化と地域経済の循環促進を狙う。
NFTがもたらす観光体験の再構築 地域活性化モデルへの展開も
「ECHIZENクエスト」は、単なる観光促進策にとどまらず、デジタルとリアルを融合させた地域経済の新モデルを構築する試みである。
NFTを通じた体験証明や特典設計により、旅行者が地域に再訪・再消費する循環を生み出す可能性がある。
特に、NFTを「体験の記録」として残せる仕組みは、文化継承の観点からも注目される。
従来の観光では一過的だった工芸体験が、デジタル上で記憶され、後にコミュニティやファン層形成へとつながる点が特徴だ。
一方で、NFTの利用にはデジタルリテラシーや通信環境といった課題も残る。
海外観光客がスムーズに利用できる設計や、環境負荷の少ないブロックチェーン技術の選定が不可欠といえる。
3社は今後、今回の実証を通じて得られた知見をもとに、他地域への展開も視野に入れている。
観光体験の高度化を軸に、地域文化の保護と経済的持続性を両立させるDXモデルの確立が期待される。
プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001443.000031978.html











