リコー、AIでインテントデータ解析 「ウルテク」導入で潜在顧客可視化

2025年10月6日、ログリー株式会社は、リコーがアカウントインテリジェンスツール「ウルテク」を導入し、AIとWeb行動データを活用して潜在顧客の可視化に成功したと発表した。
国内市場でのマーケティングDX推進に向けた取り組みである。
リコー、AIとインテントデータ連携で潜在顧客の可視化を実現
ウルテクはWeb上の行動履歴から企業の購買意欲を解析し、「今アプローチすべき企業」を自動的に抽出するアカウントインテリジェンスツールである。従来は把握が困難だった匿名リードの行動データを分析できる点が特徴だ。
リコーではこれまで、展示会などオフライン施策で得た顧客情報を活用しきれず、問い合わせを待つ受け身の体制に留まっていた。製品の独自性が高い一方で、顧客の課題に応じた具体的な提案が難しく、機会損失が発生していたという。
ウルテクの導入後は、インテントデータ(※)をAIで解析することで顧客の関心や熱量を可視化できるようになり、営業活動の優先順位付けやフォローアップの標準化が可能となった。AI分析によって顧客ニーズが言語化され、営業資料やWebコンテンツの質も向上している。
さらに、展示会やオフライン施策の成果を一過性で終わらせず、Webデータと連動させて継続的に活用できる仕組みも整えられた。単なる接触回数の増加に留まらず、データに基づいた戦略的マーケティングの実現につながっている。
※インテントデータ:企業や個人がWeb上で示す行動履歴から、製品やサービスに対する興味・関心の度合いを推測するデータ。営業・マーケティングの優先度判断に活用できる。
潜在顧客可視化がもたらす効果と課題
ウルテクの活用により、潜在顧客への接点強化や商談機会の創出は大幅に向上すると考えられる。
特にデータに基づく優先アプローチは、営業リソースの効率化や成果最大化に直結するだろう。営業現場では、具体的な顧客関心に合わせた提案が可能となり、商談成立率の向上が期待される。
また、AI分析によって得られる顧客ニーズの詳細情報は、コンテンツ戦略や提案資料の高度化に貢献し、ブランド価値の向上にもつながる可能性がある。
質の高い情報に基づく営業活動は、顧客との信頼構築を促進し、中長期的な関係性の強化にも寄与するだろう。
一方で、AIやインテントデータ依存のリスクも存在する。
データ精度の問題や解析アルゴリズムの偏りにより、誤った優先順位付けや見込み客の取りこぼしが発生する可能性がある。また、個人情報保護や法令遵守を怠れば法的リスクへと発展する恐れも否定できない。
今後は、オフライン施策との連携やデータ更新を継続的に行うことが重要となるだろう。
企業はメリットとリスクを見極めつつ、AIとデータ活用によるマーケティングDXを加速させ、BtoBマーケティング全体の競争力強化を図ることが求められそうだ。











