ジーデップ・アドバンス、東京工科大学の大規模AIシステム「青嵐」構築支援

2025年10月6日、ジーデップ・アドバンスは東京工科大学の大規模AIシステム「青嵐(SEIRAN)」構築を支援したと発表した。NVIDIAリファレンスアーキテクチャを採用し、教育・研究環境の高度化を後押しする取り組みである。
東京工科大学が「青嵐」を導入 AI教育と産学連携を強化
ジーデップ・アドバンスは、東京工科大学が進めるAI教育推進プロジェクトに参画し、NVIDIAリファレンスアーキテクチャを採用した大規模AIシステム「青嵐(SEIRAN)」の構築を支援した。
同大学は2023年からNVIDIA社と学術交流連携を結び、生成AIやロボティクスを中心とした実践的教育を拡大してきた経緯がある。
今回導入された「青嵐」は、最新GPU「NVIDIA Blackwell」を搭載したDGX B200を12台接続し、InfiniBandネットワークとDDN社製のオールフラッシュストレージを組み合わせた高性能構成を採用している。
AI性能は0.9EFLOPS、推論性能は1.9EFLOPSに達する。
ジーデップ・アドバンスは、システム設計から構築、運用支援までを一貫して担当。NVIDIA AI EnterpriseやBase Command Managerなどのツール群を組み合わせ、AI研究や教育現場での活用を円滑化する環境を整備した。
同社はこれまでにも、国内の教育・研究機関にGPUクラスターを多数導入してきた実績がある。
「青嵐」という名称は八王子に伝わる西行法師の和歌に由来し、「知の風」として新しい学びを切り開く象徴とされた。東京工科大学はこのAI基盤を中核に、AIリテラシーの向上に寄与する「みんなのAIスパコン」構想を本格始動させる計画だ。
教育・研究への影響と今後のAI人材育成展望
「青嵐」の導入は、教育機関がAI技術を自らの中核インフラとして運用する新たなモデルとなる可能性がある。
AIを専門課程だけでなく全学的に活用することで、学部横断的な人材育成が進み、研究成果の社会実装も加速すると考えられる。
また、大規模演算環境の整備により、学生はより現実に近い大規模データ処理やAIモデルの訓練を体験できるだろう。これは単なる理論教育にとどまらず、実践的なAIスキルを備えたエンジニア育成に直結する点で大きな意義がある。
一方で、運用コストや電力消費などの課題も無視できない。
GPUクラスタは高性能である反面、安定稼働には高度な管理と継続的なサポートが不可欠であるため、教育機関単独での維持は容易ではないだろう。ジーデップ・アドバンスのような専門パートナーの存在は、こうした課題解決の鍵となり得る。
今後、「青嵐」が他大学や企業研究所のベンチマークとなり、AI教育の全国的な高度化を牽引する可能性もある。教育と研究、産業が連携する新しいAIエコシステムの原型として注目が集まりそうだ。