LINE NEXT、LORDNINE内C2Cマーケット「NEXT Market」1,500万米ドル取引達成

2025年10月2日、韓国・城南市に本社を置くLINE NEXT Inc.は、Smilegateが提供する人気MMORPG『LORDNINE: Infinite Class』のゲーム内C2Cマーケット「NEXT Market」が、サービス開始から1か月で累計取引額1,500万米ドルに到達したと発表した。
ステーブルコインUSD₮決済が全体の4割を超え、利用者は35の国・地域に広がっている。
ステーブルコイン取引が市場成長を支持
NEXT Marketは、LORDNINEアジア各サーバーとプレイヤーアカウントを1対1で連携し、アイテム取引をセキュアかつシンプルに実現するプラットフォームである。
初月の累計取引額は1,500万米ドルに達し、ユーザーの平均課金収益(ARPPU)は1,500米ドルと、一般的なゲーム水準を28%上回った。
決済手段として採用されたステーブルコイン(※)USD₮の比率は総取引の41%を超え、そのうち90%以上が再利用されている。ゲーム内の「ミッション&リワード」プログラムで獲得した報酬が、再び取引に回される循環を生み、経済圏を安定的に拡大させている点が特徴だ。
加えて、NEXT Marketはグローバル決済やローカライズを整備し、20万件を超える越境取引を実現した。特に日本、タイ、フィリピンなどではユーザーの参加が活発であり、C2C取引が新たな成長基盤として機能し始めている。
初回取引から30日後も継続的に取引を行うユーザーは89%に上り、一般的なゲームと比べ約11倍のロイヤルティを示している。
※ステーブルコイン:法定通貨に価値を連動させ、価格変動を抑制した暗号資産の一種。取引や送金における利便性の高さから、ゲームや金融分野で活用が進んでいる。

高継続率が示す新たな「ゲーマー経済圏」の可能性
今回の成果は、ゲーム内アイテム取引の在り方に大きな転換点をもたらす可能性がある。
高い継続率とARPPUは、ステーブルコインを基盤にした取引が単なる決済手段にとどまらず、ユーザー主導の経済圏形成を後押ししていることを示している。こうした動きは、他タイトルや他市場に波及する契機になるかもしれない。
また、国境を越えたシームレスな取引と、価格変動リスクの低いステーブルコインによる安定性は大きなメリットだろう。
法定通貨に連動することで、一般的な暗号資産のような急激な価格変動リスクを抑制し、ユーザーが安心して取引や再投資を行える基盤を形成していると考えられる。
一方で、暗号資産を活用する取引に伴う規制対応やセキュリティ確保といった課題も残る。特に急速に成長する市場では、資金洗浄対策や利用者保護をどう担保するかが問われるだろう。これらの規制対応が遅れれば、サービスの持続性に大きな影を落とす可能性がある。
LINE NEXTは、今後も限定アイテム導入やリワード制度の拡充を予定しており、より幅広い参加を促す方針を示している。ユーザーが「創り、使う」インセンティブ・エコシステムを拡張することで、NEXT Marketはゲーム産業におけるWeb3活用の先駆例として位置づけられる可能性がある。
総じて本件は、規制面での不確実性を抱えつつも、グローバル市場を狙う企業や投資家にとっては見逃せないトレンドといえる。
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