OpenAI、新動画生成AI「Sora 2」とSNSアプリを同時発表 現実世界を高精度に再現

2025年9月30日、米OpenAIは新たな動画生成モデル「Sora 2」と、それを搭載したSNSアプリ「Sora」を発表した。
物理法則再現への準拠が向上し、利用者の姿を仮想環境に組み込める新機能を備え、米国とカナダでの提供が始まった。
「Sora 2」とSNSアプリ「Sora」、生成AIの新段階を提示
OpenAIが発表した「Sora 2」は、従来の動画生成AIの課題を大幅に改善したモデルである。
従来モデルでは歪みや不自然さが残っていた物理現象をより正確に再現できるようになった。たとえば、バスケットボールのシュートが外れると自然にリバウンドが起こるという。
OpenAIは、「成功」だけでなく「失敗」を含む現象を表現できる点で、現実世界を模倣するAIとして重要な進歩だとしている。
また、本モデルは複雑な指示に基づいて複数シーンを連続生成することが可能で、リアル映像からアニメ調まで幅広いスタイルに対応する。
背景音や効果音を同時に生成することで、映像と音声を統合的に構築できるのも大きな特徴だ。
さらに、実在の人物や動物を動画に取り込み、仮想世界に登場させる「カメオ」機能が実装されており、利用者は自らを映像に自然に組み込める。
このモデルを基盤にしたSNSアプリ「Sora」も同時に公開された。アプリでは、生成映像の共有やリミックスが可能で、ユーザー同士が自らや友人を登場させた映像を制作できる。
社内テストでは新たな交流を生む効果が報告されており、同社はこれを「次世代のコミュニケーション形態」と位置づけている。
サービスはまず米国とカナダで招待制により提供され、将来的にはAPIやPro版も拡大展開される予定だ。
創造性を広げる一方、安全性と依存リスクに課題も
Sora 2とアプリの導入は、映像生成の民主化を加速し、エンタメから教育、広告まで多様な分野に波及すると予想される。
特に、誰もが容易に高精度な映像を作れることは、クリエイター経済の拡大に直結するメリットを持つだろう。
ユーザーが「失敗を含む現実」を映像で再現できる点は、ロボティクスやシミュレーション研究にも資する可能性がある。
一方で、SNS機能を伴うことで依存や未成年利用に関する懸念が避けられない。無限スクロールによる消費偏重を避けるため、OpenAIは「消費より創造」を重視した設計を打ち出し、自然言語で調整可能な推薦アルゴリズムや閲覧制限を導入した。
ただし、こうした仕組みが実際に依存を防げるかは今後の運用次第といえる。
また、他人の映像や声を利用する「カメオ」機能は、同意や肖像権の扱いに新たな課題を生む可能性がある。OpenAIは利用者自身が管理できる仕組みを強調しているが、悪用を完全に防ぐ保証はない。
今後はSora 2が「世界シミュレーター」として進化を遂げることで、産業や社会のあり方を左右する革新的なツールになる可能性がある。メリットとリスクがせめぎ合う中、どこまで健全な創造の場を提供できるかが問われていると言える。