東京海上HD、OpenAIと戦略的連携を開始 生成AIで業務基盤を刷新

2025年9月25日、東京海上ホールディングスは米OpenAIとの戦略的連携を発表した。
生成AIを活用して業務基盤を進化させ、AIエージェントによる生産性向上と顧客体験の革新を目指す取り組みを強化する。
東京海上HD、OpenAIと生成AI基盤構築で提携
東京海上ホールディングス株式会社は、生成AIの活用を中核に据えた業務基盤の進化を進めるため、米OpenAIとの戦略的連携を開始した。
契約・照会・文書処理といった保険業務に生成AIを統合し、社員の生産性向上と業務の高度化を図る狙いだ。
将来的にはAIエージェントを中心とした新たな業務基盤を整備し、顧客体験の質を一層高める。
公式文書において東京海上HDは、大規模言語モデルが自然な対話や要約、分類といった処理に高い柔軟性を持ち、企業の業務変革において重要な役割を担い始めていることを指摘。
その流れの中で、同社グループも、営業戦略の策定から日常のオペレーションまで幅広い領域でAIを導入し、効率と付加価値を両立する仕組みを構築することを決定したという。
連携の第一歩として、東京海上日動火災保険の営業戦略立案にChatGPTのDeep Researchを導入する。
地域ごとの人口動態や課題をAIが自動収集し、保険商品やソリューションの情報と統合することで、地域特性に応じた提案を実現する。
これにより営業現場での顧客対応がきめ細やかになり、従来より迅速かつ精度の高い施策が可能になると見込まれる。
生成AI導入がもたらす成長加速とリスクの両面
今回の提携は、東京海上グループにとって生成AIを全社的に活用する起点となる。
OpenAIの技術支援を受けることで、グループ内の業務プロセスは横断的に自動化され、データ処理や定型業務の効率は飛躍的に高まると考えられる。
顧客接点では、AIがパーソナライズされたサービスを提供し、顧客満足度やブランド価値の向上につながる可能性がある。
一方で、生成AI導入にはリスクも伴う。特に、情報の正確性やセキュリティ面での課題は避けられない。
万一、AIが誤った提案を行えば顧客体験を損なう恐れがあるほか、個人情報の管理体制強化も急務である。
また、社員のスキルとAIの役割分担を明確にしなければ、業務現場での混乱を招く可能性もある。
ただし、東京海上グループはグループ各社で得られた知見を横展開し、技術の共通化と効率化を推進する方針を示している。
これにより、リスクを抑えつつ成果を最大化する体制が整備されるとみられる。
今後は保険事業のみならず、ソリューション分野での展開も期待され、日本発の保険テック革新が加速することになるだろう。