「えきねっと」が進化 新幹線の3カ月前予約と輸送障害時の即時対応サービス開始

2025年9月25日、東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)が「えきねっと」の新サービスを発表した。新幹線指定席を乗車日の3カ月前から予約可能にするほか、輸送障害時のオンライン変更や手数料なし払戻機能も拡大される。
新幹線の早期予約と輸送障害対応を拡充
JR東日本は2025年10月より、えきねっとを通じた二つの新サービスを開始する。
ひとつは新幹線指定席を3カ月前から申し込める「早期予約」であり、もうひとつは輸送障害時における変更・払戻のオンライン対応拡大である。
早期予約は、JR東日本およびJR北海道エリアの新幹線のうち、「はやぶさ」「こまち」「やまびこ」「つばさ」「とき」「あさま」を対象とする。開始は2025年10月31日14時からで、対象となるのは2026年1月10日以降の乗車分である。
申込はえきねっとの公式サイトやチケットレスアプリから行え、支払い方法はクレジットカードなどオンラインに限定される。座席番号は乗車の1カ月前に通知されるが、座席位置の細かい指定はできず、シートマップ選択なども不可としている。
一方、輸送障害対応サービスは10月2日から始まる。
従来は駅窓口でしか対応できなかった発車後の列車変更や再購入を、えきねっと上で利用可能にする仕組みだ。割引切符「トクだ値」を適用したまま他列車への変更もできる。
さらに、10月31日からは突発的な障害が発生した場合でも、手数料なしで即時に払戻が可能となる。従来は地震や災害といった長期的運休時に限定されていたが、今後は人身事故や車両故障などのケースにも対応範囲が広がる。
利便性向上の一方で課題も デジタル依存への懸念
今回の新サービスは、旅行計画の自由度を高めるという点で大きなメリットがある。
特に年末年始や大型連休など混雑期の座席確保が容易になり、利用者の安心感は一段と増すと考えられる。
ビジネス利用においても、オンライン上で柔軟に変更が可能になることで、急な出張変更や顧客対応にもスムーズに対応できるようになる。
割引切符を維持したまま乗車変更できる点はコスト削減にもつながり、企業利用の拡大を後押しすると見られる。
一方で、座席指定不可や支払い手段の制限は利便性を損なう要素になり得る。
オンライン手続き主体となるため、高齢者やITに不慣れな層にとっては利用ハードルが高まる懸念がある。
また、アクセス集中によるシステム障害のリスクも否定できず、安定的な運用体制の整備が求められるだろう。
それでも、今回の施策は新幹線利用のデジタル化を一段と進める布石といえる。
今後はAIによる混雑予測や柔軟な料金設定との連動など、さらなる高度化が進む可能性が高い。利用実績や満足度に応じて機能改善や他路線への拡充も期待される。