モルガン・スタンレー、Eトレードでゼロハッシュと連携 暗号資産取引提供へ

2025年9月23日、米金融大手モルガン・スタンレーが、オンライン証券取引プラットフォーム「Eトレード」上で暗号資産取引を2026年上半期から開始するとロイターが報じた。
ゼロハッシュとの提携を通じ、ビットコインなど主要銘柄の取引が可能になる見通しだ。
ゼロハッシュと提携、BTC・ETH・SOL取引を提供
モルガン・スタンレーは、オンライン証券取引プラットフォーム「Eトレード(E*Trade)」を通じて暗号資産取引に参入する。
報道によれば、同社は暗号資産インフラ企業ゼロハッシュ(ZeroHash)と連携し、2026年上半期をめどにサービスを開始する予定だ。
ローンチ時点で取引可能なのは、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、ソラナ(SOL)の3銘柄とされる。
ゼロハッシュは暗号資産やステーブルコイン、トークン化資産を取り扱うための基盤を提供しており、複数の大手金融機関と連携している。
同社は2025年9月23日、シリーズD2ラウンドで1億400万ドル(約153億円)を調達したと発表。主導したのはインタラクティブブローカーズ(Interactive Brokers)であり、モルガンスタンレーやソーファイ(SoFi)など著名投資家が参加した。
今回の調達により、ゼロハッシュの企業評価額は10億ドル(約1,483億円)を突破し、ユニコーン企業(※1)の仲間入りを果たした。
※1 ユニコーン企業:設立10年以内で、評価額が10億ドル(約1500億円)以上の非上場企業のこと。急速に成長し、市場を変える可能性を秘めた、珍しい「角を持つ馬」に例えられる。
金融大手の参入が市場に与える期待と課題
モルガン・スタンレーがEトレードを通じて提供する暗号資産取引は、既存の株式・ETFに加え、資産クラス(※2)の多様化を進める一環と捉えられる。
従来のオンライン証券利用者が新たに暗号資産市場へアクセスできることで、取引層の拡大につながる可能性がある。特にEトレードは米国内で数百万の個人投資家を抱えるため、その顧客基盤に暗号資産への直接的なアクセスが加わることは市場規模の拡大要因となりうる。
一方で、暗号資産取引が依然として高い価格変動リスクを抱えていることには注意が必要そうだ。
Eトレードの既存ユーザーが株式や債券と同じ感覚で参入することで、短期的な損失リスクを被る可能性もある。また、米国では証券取引委員会(SEC)や商品先物取引委員会(CFTC)の規制が重層的に絡むため、コンプライアンス体制の整備も課題となるだろう。
それでも大手金融機関の参入は、暗号資産が単なる投機対象から資産クラスの一部へと定着しつつある流れを示している。モルガン・スタンレーの参入は、他の大手証券会社や銀行にも追随を促す可能性が高い。
結果として、オンライン証券の標準的なサービスに暗号資産取引が組み込まれる時代が到来するかもしれない。
暗号資産がEトレードの既存サービスに自然に組み込まれ、長期的な資産形成の一手段として定着するかどうかは、規制環境と投資家行動の両面で試されていくことになると見られる。
※2 資産クラス:投資対象を分類したグループのこと。株式、債券、不動産などがあり、それぞれリスクとリターンの特性が異なる。投資を考える際の基本的な枠組み。
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