Zoom、生成AI「AI Companion 3.0」を発表 会議から営業支援まで包括的に強化

2025年9月17日、米Zoom Video Communicationsは年次イベント「Zoomtopia 2025」で「Zoom AI Companion 3.0」を公開した。
エージェント型AIを搭載し、会議、営業、カスタマーサポートを横断する新機能で業務効率を抜本的に高める構想を示した。
Zoom、会議と業務を横断するAI Companion 3.0を公開
Zoomは「Zoomtopia 2025」で、最新の「AI Companion 3.0」を発表した。
従来のアシスタント機能を進化させたエージェント型AIを採用し、会議記録、チャット履歴、社内文書、公開データなどを統合的に解析して利用者の文脈に基づいた情報を提示する。
有料のZoom Workplace利用者は、Zoom外のTeamsやGoogle MeetなどでもAIによるノート作成が可能となる。
さらに、会議準備、会議中の提案、タスク優先度付けなど、プロアクティブな業務支援機能が追加された。
新たなワークスペースでは、複数のアプリに分散する情報を一元化し、即座に行動へ移せる環境が整う。
同時に、AIによる文書生成やリサーチ支援も拡張され、社内外データを活用した高度なレポート作成が可能になる。
さらに、会議アバターや動画の切り出し、リアルタイム翻訳精度の改善などプラットフォーム全体の機能も刷新。特に翻訳精度では英仏間と英日間で28%、英西間で14%の優位性を示したという。
加えて、営業支援「Zoom Revenue Accelerator」やカスタマーサポート向け「CX Insights」など業務特化機能も拡大。
見込み客の自動抽出、担当者支援、品質管理の自動化といった新要素が導入され、顧客体験全体をAIで底上げする仕組みが整った。
AI Companion 3.0は11月に一般提供予定で、有料アカウント利用者は追加料金なしで利用できる。
カスタムAIエージェント機能は月額12ドルで提供される。
AI導入で進む業務効率化と差別化 普及にはコストと運用リスクも
AI Companion 3.0は、企業にとって業務効率化と競争力強化の大きな追い風になるだろう。
会議内容を即座に可視化し、タスクを能動的に整理して提示する仕組みは、従来の情報管理の手間を大幅に削減する。
また、営業活動や顧客対応を自動化する機能は、収益拡大と人材不足対策の両面で期待される。
一方で、リスクも無視できない。AIによる情報集約は利便性を高めるが、セキュリティやプライバシー保護の観点からは新たな脆弱性を抱える可能性がある。
さらに、カスタムAIの導入には追加コストが発生し、大規模導入を目指す企業では費用負担が無視できない水準に達する懸念もある。
今後は、各企業がAI活用の成果とコストのバランスをどう取るかが普及のカギとなるだろう。
Zoomの「AIファースト」戦略が市場にどこまで浸透するか注目される。
Zoom ニュースリリース:https://news.zoom.com/zoomtopia2025/