ペイパルPYUSD、ステラ対応とPYUSD0多チェーン化で国際決済拡大

2025年9月19日、米決済大手ペイパルは米ドル建てステーブルコイン「PYUSD」をステラネットワーク上で発行開始したと発表した。同時に、レイヤーゼロ標準に基づく「PYUSD0」が複数チェーンで導入されたことも明らかになった。
PYUSDがステラに対応、PYUSD0は7チェーンで稼働開始
ペイパルは米ドル建てステーブルコイン「ペイパルUSD(PYUSD)」の発行ネットワークを拡大し、ステラネットワークでの利用を開始した。
今回の対応は、決済分野での利用促進と送金効率の改善を目的に進められたものであり、既存のイーサリアムやソラナ、アービトラムに続く展開となる。
同日、クロスチェーン相互運用性を実現するレイヤーゼロの標準「OFT(※)」に対応した拡張版「ペイパルUSDゼロ(PYUSD0)」の導入も発表された。PYUSD0は従来の発行形態とは異なり、パーミッションレス版として拡張されたトークンである。
新たにPYUSD0が稼働したチェーンは、アブストラクト、アプトス、アバランチ、インク、セイ、ステーブル、トロンの7種類である。スターゲートのクロスチェーン機能「ハイドラ」を介して流通し、今後さらに対応範囲が広がる計画も示されている。
また、ベラチェーン上のBYUSDやフロー上のUSDFといった既存のパーミッションレストークンは、自動的にPYUSDへ移行される予定である。
今回の仕組みは、レイヤーゼロ財団がスターゲートを買収したことに基づくものである。
※OFT(オムニチェーン・ファンジブル・トークン):複数のブロックチェーン間で同一仕様のトークンを扱えるよう設計された規格。クロスチェーンの互換性を高める仕組み。
拡大するPYUSDの影響力 利便性向上と分散化の狭間で
今回の拡張により、PYUSDは送金やDeFi領域において一層利便性を高めると考えられる。
複数チェーンでの利用が可能になることで、異なるネットワーク間での資金移動が容易となり、グローバル決済の効率性が向上する見込みだ。
一方で、PYUSD0のようなパーミッションレス版は、分散型金融エコシステムにおける統合を進める効果がある反面、規制上の課題を抱える可能性もある。
特にコンプライアンスを重視する金融機関にとっては、リスク管理の在り方が問われる局面になるだろう。
また、レイヤーゼロのOFT標準を基盤とすることで、PYUSDは単なるステーブルコインから「オムニチェーン資産」へと進化しつつある。この変化は競合するUSDCやUSDTとの差別化要素となり得るが、同時にチェーン間の依存関係が複雑化する懸念も残る。
今後は、規制当局の対応やユーザーの採用動向によって成長スピードが左右されるとみられる。PYUSDの多チェーン展開が持続的に拡大するかどうかは、利便性と信頼性のバランスをいかに保つかにかかっていると考えられる。
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