リップル社ステーブルコイン「RLUSD」、トークン化ファンドBUIDL・VBILLと交換可能に

2025年9月23日、米リップル(Ripple)社とセキュリタイズ(Securitize)が、ブラックロックとヴァンエックが運営するトークン化ファンド「BUIDL」「VBILL」の持分を、リップルUSD「RLUSD」と交換できる仕組みを発表した。米国市場におけるデジタル資産の流動性向上を狙う動きである。
BUIDL・VBILL持分をRLUSDに即時交換可能に
今回の発表によれば、リップル社とセキュリタイズは新たにスマートコントラクトを導入し、投資家が保有するBUIDL(※1)およびVBILL(※2)のトークン化持分をRLUSDへ24時間365日即時に交換できるようにした。
BUIDLについてはすでに利用可能であり、VBILLについても数日以内に稼働する見通しだ。
セキュリタイズは分散型レイヤー1ブロックチェーン「XRPレジャー(XRPL)」と自社プラットフォームの統合を予定しており、今後はオンチェーンでの資産運用基盤が一層強化される見込みだ。
RLUSDはリップルが発行する米ドル連動型ステーブルコインで、米ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)の信託会社チャーターを持つ点が信頼性を高めている。
エンタープライズ用途に特化し、国際送金の効率化やコスト削減を狙った設計となっており、現在はXRPレジャー(XRPL)とイーサリアム上で発行されている。
時価総額は7億ドルを超えており、安定的な流動性を持つ。
※1 BUIDL(ブラックロック・米ドル機関投資家向けデジタル流動性ファンド):米資産運用会社ブラックロック(BlackRock)が2024年3月に立ち上げたトークン化ファンド。
※2 VBILL(ヴァンエックトレジャリーファンド):米資産運用会社ヴァンエック(VanEck)が2025年5月に立ち上げたトークン化ファンド。
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資産の即時換金が示す新市場 流動性と規制リスクの両面
BUIDLやVBILLの投資家が持分をRLUSDに即時換金できるようになることは、デジタル資産市場の利便性を大きく押し上げる可能性がある。特に、機関投資家が時間外でも資金移動を柔軟に行える点は、従来の証券市場にはない魅力となるだろう。
オンチェーン上での流動性確保は、資本効率の向上にも直結すると期待される。
一方で、ステーブルコインを介した資金移動が容易になることは、規制当局の監視強化を招くリスクも抱えることになりそうだ。米国ではステーブルコインに関する包括的な規制議論が進んでいるため、RLUSDのようにNYDFSの監督を受ける発行体であっても、将来的なルール変更の影響を免れることはできないと予測できる。
また、ファンド投資とステーブルコイン交換が直接結びつくことで、オンチェーン上の金融商品設計が加速する一方、市場の過熱や新たなシステミックリスクを誘発する可能性もある。こうした懸念を抑制するためには、透明性の高い運営と投資家保護策が不可欠になるだろう。
今回の仕組みは、トークン化資産とステーブルコインの橋渡し役を明確に打ち出した点で象徴的だと言える。
流動性を求める投資家にとっては朗報であるが、制度設計とリスク管理をいかに両立させるかが、今後の焦点になるだろう。
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