5年に1度の国勢調査が開始　偽メールや詐欺被害に警戒呼びかけ

2025年9月19日、総務省統計局は5年に一度の国勢調査に関連し、不審メールや詐欺の事案が発生しているとして注意を呼びかけた。
正規の調査ではメールで回答依頼を行わないと明言し、住民に冷静な対応を求めている。

国勢調査装う不審メールが横行　統計局が異例の注意喚起

2025年10月に実施される国勢調査を前に、総務省統計局は調査を装った不審メールが確認されていると発表した。
問題のメールは「回答者に記念品を贈呈する」と称して偽サイトへ誘導する内容で、個人情報詐取の恐れがある。

統計局は公式文書で「国勢調査では、国勢調査員が実地に調査書類を世帯に配布するため、メールにより調査への回答を依頼することは絶対にありません」と強調した。
メール内のURLにはアクセスせず、不審に感じた場合は居住地の市区町村担当窓口へ連絡するよう呼びかけている。

国勢調査は統計法に基づき、国内に住むすべての人を対象に実施される基幹調査である。
人口や世帯の実態を把握し、医療や福祉、防災、教育など幅広い政策の基礎資料となる重要性を持つ。
その義務性を逆手に取った詐欺が横行すれば、回答率の低下や調査の信頼性に影響しかねないと懸念される。

実際の不審メールには「期限内に回答すればオリジナルグッズを進呈」などと記載され、あたかも公式の案内であるかのように装っている。
こうした虚偽の文言は、住民を安心させて入力を促す典型的な手口であり、文面のみで信用しないことが求められる。

調査制度の信頼性が問われる　デジタル時代のリスクと対応

今回の警告は、国勢調査のように全住民を対象とした制度がデジタル詐欺に悪用されるリスクを浮き彫りにした。
背景には、行政サービスのオンライン化が進み、メールやWebサイト経由のやり取りが一般化している現状がある。
「国からの案内」というだけで信憑性を感じやすく、市民にとってはリスクが高い。

メリットの側面としては、今回の注意喚起により調査制度の透明性を高め、住民が正しい知識を持つ契機となる点が挙げられる。
特設キャンペーンサイトの開設もその一環とみられ、公式情報の発信力を強化することで偽情報の拡散を抑制できる可能性がある。

一方でリスクは依然残る。サイバー詐欺は巧妙化しており、国勢調査以外の公的制度にも波及する恐れがある。
行政が「メールでは案内しない」と繰り返し説明しても、世代やITリテラシーによって理解に差が生じれば被害は防ぎきれない。
結果として、調査回答への心理的抵抗感が広がる可能性も考えられる。

今後は、単なる注意喚起にとどまらず、詐欺事案の検知・通報体制や自治体との連携強化が必要になるだろう。
国勢調査の信頼性を維持することは、行政データに基づく政策形成の基盤を守ることにもつながると考えられる。
デジタル時代における国民調査制度の在り方が、今改めて問われていると言える。

国勢調査2025キャンペーンサイト：https://www.kokusei2025.go.jp/

注意喚起資料：
https://www.kokusei2025.go.jp/lib/pdf/top/hushin_mail_chui.pdf
https://www.kokusei2025.go.jp/lib/pdf/caution/chui_kanki.pdf