イーサリアム大型アップグレード「Fusaka」 12月3日にメインネット実装へ

2025年9月18日、イーサリアム財団の開発者会議「ACDC #165」にて、次期大型アップグレード「Fusaka(フサカ)」が12月3日にメインネットへ導入されることが暫定合意された。
複数のテストネットでの検証を経て本格実装に進む予定だ。
イーサリアム「Fusaka」アップグレード、段階的にテストを実施
イーサリアムの次期アップグレード「Fusaka」の実装日が、12月3日に定められた。
今回の決定は、9月18日に開かれた開発者会議「オールコアデヴコンセンサス(ACDC)#165」で合意に至ったもので、正確なブロック番号や実装時間は今後再確認される予定である。
Fusakaに先立ち、テストネットでの事前検証が段階的に行われる予定も決定された。
10月1日にホルスキー(Holesky)、14日にセポリア(Sepolia)、28日にフーディー(Hoodi)でのアップデートが予定されており、順次テスト環境での安定性と安全性を確認する流れとなる。
今回の中心的な変更は、EIP-7594で定義された「PeerDAS(ピアーダス)」の導入と、データ領域「ブロブ(※)」の拡張だ。
PeerDASはデータ可用性をサンプリングで検証する仕組みで、全データをダウンロードせずとも確認できることが利点だ。
この技術により、ネットワーク負荷を抑えつつ処理能力を高めることが可能になる。
また、ブロブの容量は現行の「6/9(ターゲット/最大)」から、「10/15」へ、さらに「14/21」まで拡張される計画が示されている。
これにより、レイヤー2からレイヤー1へのデータ送信効率が高まり、スケーラビリティの改善が期待される。
さらにセキュリティ強化の一環として、最大200万ドル規模の報奨金を用意した監査コンテストも進行中だ。
スポンサーには、イーサリアム互換チェーン「Gnosis」とリキッドステーキングの大手「Lido」が名を連ねる。
※ブロブ(blob):イーサリアムのレイヤー2からレイヤー1に送信される一時的なデータ領域。処理効率を高めるための拡張対象となっている。
Fusaka実装がもたらす拡張性 期待と懸念が交錯
Fusakaの導入によりPeerDASによりデータ検証の効率化が進むことで、これまで課題とされてきた帯域やストレージ負荷が軽減され、利用者にとっては手数料低下や取引速度の改善といった恩恵が見込まれる。
特にレイヤー2ソリューションに依存するDeFiやNFT市場にとっては、インフラの強化が新たな成長を支える要因となるだろう。
一方で、急速な仕様変更は短期的な不安定さを招くリスクも否めない。
新たな仕組みがメインネットに導入される際には、想定外の脆弱性やバグが露見する可能性がある。
そのため、テストネットでの段階的導入と報奨金によるバグ発見コンテストは、潜在的リスクを抑えるための重要な布石といえる。
今回のアップグレードは、イーサリアムの競争力をさらに高める期待ができる一方で、安定性を維持したまま拡張を実現できるのかについては懸念も残る。
12月3日の本格実装後、Web3エコシステムにどのような影響を及ぼすか、注目が集まりそうだ。