mediba、家事共有アプリ『ペアワーク』で「家事を時給換算」する独自技術の特許を取得

2025年9月18日、KDDIグループのmediba(東京都品川区)は、家事共有アプリ『ペアワーク』に搭載される「家事の労働価値を時給換算して可視化する仕組み」で特許を取得したと発表した。
家事の「見えない労働」を金額で可視化する仕組み
今回medibaが特許を取得したのは、家庭内で行われる家事を労働として時給換算し、その貢献度を自動的に算出する技術である。特許番号は第7717209号で、2025年7月24日に登録が完了している。
この仕組みでは、夫婦が希望する時給を相互に提示し、合意に至った金額を基準として家事の取り組み時間を換算する。
アプリに記録された日々の家事時間は月単位で自動的に集計され、精算シミュレーションとして表示されるため、双方が納得できる形で分担の実態を把握できる。
背景には、日本で共働き世帯が7割に達する一方、妻の家事時間が夫の3.58倍という偏りが依然として残る現実がある。国際的にもSDGsの目標5-4で「無報酬の家事労働の評価」が掲げられており、今回の技術は社会的課題の解決に資する取り組みと位置づけられる。
プロダクト責任者の木村美紗氏は、「パートナーの昇進で家事がワンオペ化した経験から、この仕組みを考案した」と語る。
medibaはこの技術を軸に『ペアワーク』のサービス展開を加速させ、共働き夫婦の円滑な家庭運営を支援する考えだ。
家事の数値化が家庭運営や社会に与えるインパクト
家事の時給換算技術は、夫婦間のコミュニケーション改善や家事負担の公平化に直結するメリットを持つ。
従来は「やっているつもり」「助けているつもり」といった主観に左右されやすかった分担を客観的に数値化することで、双方の納得感や協力意識が高まる可能性がある。
一方で、金額ベースで評価されることにより、心理的なプレッシャーや不公平感が強まるケースも想定される。過度な比較が夫婦間の摩擦を増やす懸念があるため、利用に際しては柔軟な解釈やバランスが求められる。
さらに、個人情報として家事記録や時給データを扱う点でセキュリティとプライバシー保護は必須の課題となる。透明性の高いデータ管理やユーザーが安心して利用できる仕組みがなければ、普及の障害となりかねない。
将来的には、AIやIoTとの連携で家事の自動計測や貢献度算出の精度向上が期待される。
また、他社サービスや地域コミュニティでの標準化が進めば、家庭内にとどまらず社会全体で家事労働を正当に評価する文化の定着にもつながるだろう。