デジタル技術と生成AIで地域課題の解決を模索 愛媛・松山で学生対象セミナー始動

2025年9月16日、愛媛県松山市で大学生や専門学校生を対象にしたデジタル人材育成セミナーが開催された。県とIT企業が連携する「クラウドインターン愛媛」の初回として行われ、生成AIの活用方法を学びました。
松山で始動「クラウドインターン愛媛」、学生がAI活用を体験
愛媛県と複数のIT企業が連携し、次世代のデジタル人材育成を目指す取り組み「クラウドインターン愛媛」が始まった。その第1回セミナーが松山市で実施され、県内の大学生や専門学校生14人が参加した。
全日空の担当者が登壇し、飛行データや予約情報を分析して燃料消費を抑えた運航や、顧客サービスの改善につなげている事例を紹介。
その後、米グーグルが開発した大規模言語モデル(LLM)「Gemini」を用いた文章生成やアイデア発想を体験。地元ホテルの人手不足やインバウンド対応といった地域課題を題材に、AIでどのような解決策を導き出せるかをグループで議論した。
「クラウドインターン愛媛」は、学生が得た知識や技術を今後のインターンシップや実地活動で活かし、地域企業の課題解決につなげることを目指している。
生成AI人材育成の波及効果と課題 地方創生との接点を探る
今回の取り組みは、学生にとって先端技術を実践的に学ぶ機会であると同時に、地域企業にとって新しい人材の可能性を探る場ともなり得るだろう。生成AIを活用できる若年層を育成することは、企業の業務効率化やサービス向上に寄与し、長期的には地域経済の底上げに結び付く可能性がある。
また、AIは中小企業でも比較的導入しやすく、文章作成や情報発信の自動化を通じて人的負担を軽減できると見込まれる。人材流出が課題となる地方において、学んだ技術を地元で活用できる環境が整えば、地域定着につながる余地もある。
一方で、AI依存による判断力低下や情報の正確性への懸念、倫理面でのリスクは依然として残る。教育段階から技術的理解とともに批判的思考を育む仕組みを導入することが重要とされる。
今後は、愛媛での事例が他の自治体に波及し、生成AIを活用した人材育成が地方創生の選択肢の一つとして根付くかどうかが注目される。持続的な教育体制の構築が成否を左右する要因になるとみられる。