ホットリンクG傘下Nonagon Capital、上場企業向けにDAT相談窓口を新設

2025年9月16日、ホットリンクグループ傘下のノナゴン・キャピタルが、日本の上場企業を対象に暗号資産を活用した財務戦略「デジタル・アセット・トレジャリー(DAT)」に関する相談窓口を開設した。
上場企業のDAT活用を支援する新たな相談窓口
ノナゴン・キャピタルは、サンフランシスコ・ベイエリアを拠点にブロックチェーン領域へ投資を行うグローバルファンドであり、SNSマーケティング支援を手掛けるホットリンクグループの一員である。
Web3スタートアップへの出資やノード運営などを展開し、日本国内の上場企業に対してはリサーチや戦略アドバイザリーを提供してきた。
同社によれば、ここ数年で経営層から暗号資産を用いた財務戦略に関する相談が急増しているという。こうした需要を背景に、今回の「DAT(※)相談窓口」設置が決まった。
従来の金融資産とは異なる相関性を持つ暗号資産を財務ポートフォリオに組み込むことで、リスク分散や国際取引の資金運用柔軟化につなげたいと考える企業が増えている。
DATは短期的な株価対策というより、中長期的な資産構成の安定化を狙う戦略として位置づけられている。ビットコインなどの暗号資産を一部保有することで、法定通貨や株式に依存しない財務基盤を構築する試みが広がっており、日本でも先行事例の拡大が予想される。
さらに、同社は今後、大企業の財務責任者を対象にヒアリングを行い、より実務に即した提案を具体化していく方針だ。
こうした動きは、国内企業がグローバルな金融市場での競争力を維持するための一歩といえる。
※デジタル・アセット・トレジャリー(DAT):企業が暗号資産を戦略的に保有・運用する財務手法。価格変動リスクはあるが、インフレ耐性や国際取引における資金効率向上が期待される。
参考:ホットリンクグループのNonagon Capital、上場企業向け「暗号資産による企業財務戦略相談窓口」を新設
https://www.hottolink.co.jp/info/20250916_119462/
企業財務に広がるDAT導入 期待と課題が交錯
今回の相談窓口設置は、国内上場企業がDATを検討する際の「実務的ハードル」を下げる効果が期待される。
暗号資産市場はボラティリティが大きい一方で、長期的にはゴールドや不動産と同様、インフレ耐性や国際的流動性を持つ資産とみなされる傾向がある。これを企業が一部保有することは、ポートフォリオ強化や資金調達の多様化に直結しうる。
一方で、リスクも小さくない。価格変動リスクに加え、税制や会計処理の不確実性、規制環境の変動といった要素が企業経営に影響を及ぼす可能性がある。特に上場企業の場合、株主や監査法人への説明責任が問われるため、導入には慎重さが求められそうだ。
なお、同様の取り組みをすでにアニモカブランズジャパンが「デジタルアセット・トレジャリー・マネジメント支援事業」として9月11日に開始しており、国内でもDAT市場の整備が進みつつある。
複数の事業者が関与することで、ノウハウや制度整備の加速につながる可能性もある。
今後、DATが「一部の先進企業の試み」にとどまるのか、「一般的な財務戦略の選択肢」として根付くのかは、制度面の安定化と実績の積み上げにかかっていると言える。
今回のノナゴン・キャピタルの窓口開設は、国内企業の財務戦略が多様化するか否かを占う試金石として注目されるだろう。
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