NTT東日本、AIで電話線・電柱損傷を自動受付 災害時の通報混雑を解消へ

2025年9月18日、NTT東日本は電話線や電柱などの損傷について、生成AIを活用した自動受付システムを導入した。災害時に急増する通報への対応を効率化し、現場復旧までの時間短縮を目指す。
AIが不安全設備通報を自動対応 113窓口の混雑緩和へ
NTT東日本は18日午前9時から、電話線や電柱といった通信設備の損傷に関する通報をAIが自動で受け付ける仕組みを開始した。
対象となるのは「113故障受付」に寄せられる通報のうち、不安全設備に関するものである。これは全体の約3割を占めるとされる。
従来はオペレーターが通報内容を聞き取り、設備の状態や場所を確認して対応手配につなげていた。しかし自然災害や事故の発生時には通報件数が通常の2倍以上に膨らみ、窓口が混雑して繋がりにくい状態が頻発していた。
これにより、復旧作業の初動が遅れるという課題が生じていたという。
今回導入されたAIは、通報者の自由発話を解析し、不安全設備に関する内容かどうかを即時に分類する。
その上で、緊急性や設備の損傷状態、具体的な設置場所などを追加質問し、対応に必要な情報を効率的に収集する。こうして得られた情報は、システムを通じて現場の対応部門に直接引き渡され、復旧作業につながる。
災害時のレジリエンス強化へ AI拡張とリスク対応が課題
AIによる自動受付は、災害や事故発生時に強靭な通信インフラを維持するうえで大きな意義を持つと考えられる。
特に地震や台風など大規模災害時においては、数分単位での対応の早さが地域の安全確保に直結する。通報混雑を解消することで、現場の復旧開始までの時間短縮が可能となり、被害拡大を防止することができるようになるだろう。
一方で、AIの精度や対応範囲にはまだ限界がありそうだ。
通報者の発話が曖昧な場合や特殊な状況では、必要な情報を取りこぼすリスクも残る。今後は自然言語処理の向上や、より幅広い通報内容への対応拡大が不可欠となるだろう。
また、AI任せにすることでオペレーター人員を削減すれば、人間による最終的な判断力が弱まる懸念もある。災害時には想定外の事態が多発するため、AIと人の役割分担をどう設計するかが今後の課題になると予想できる。
AI導入が進むなかで、安全性と効率性をいかに両立させるかが問われる局面に入ってきたと言える。