リップルがRLUSDで2,500万ドル寄付 中小企業と退役軍人を支援

2025年9月15日、米リップル社は米ドル連動型ステーブルコイン「RLUSD」で2,500万ドル(約36.7億円)を寄付したと発表した。対象は中小企業支援団体と退役軍人支援団体で、雇用創出や融資拡大などを通じた全米規模の経済効果が見込まれている。
リップル、RLUSD寄付で社会課題解決を後押し
リップル社はアクシオン・オポチュニティ・ファンドとハイヤー・ヒーローズUSAに対し、RLUSDで総額2,500万ドルの寄付を実施した。
RLUSDはニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)の信託会社チャーターを取得しており、特に国際送金における迅速性と低コストを実現するステーブルコインである。
アクシオン・オポチュニティ・ファンドは寄付金をもとに1億2,500万ドル規模の融資効果を見込み、小規模事業者向けにデジタル化や教育プログラムを拡充する計画だ。
米国では小規模事業者が労働力の半分を担うが、資金調達の課題が成長を阻んでおり、今回の支援は地域経済の底上げにつながると期待される。
一方のハイヤー・ヒーローズUSAは、退役軍人やその家族の雇用支援を行う団体で、寄付を基に1万4,000件の雇用機会を創出する計画を示した。
同団体はフィンテック分野でのキャリア育成プログラム「フィンテック・パスウェイズ」を新たに立ち上げ、年間9億ドル以上の経済波及効果を見込んでいる。
寄付は暗号資産寄付プラットフォーム「ザ・ギビング・ブロック」を介して行われる。取引所アップホールドが運営面を支援することで、両団体はステーブルコインを通じた低コストかつ透明性の高い資金管理の実務経験を得られる。
なお、リップル社にとっては、5月に実施した教育支援向けのRLUSD寄付に続く2例目であり、社会的インパクトを重視した取り組みを継続している。
ステーブルコイン寄付の波及効果 金融実務習得の機会と制度面の課題
今回の取り組みは、ステーブルコインを社会課題の解決に活用する先駆的事例であり、RLUSDを用いることで寄付の透明性とスピードが格段に高まると考えられる。
資金の受け取り手も、暗号資産運用の実務経験を積めることは長期的な競争力強化につながるだろう。
メリットとしては、中小企業や退役軍人が従来の銀行融資に依存せず、迅速に資金や支援を得られる点が挙げられる。特に、就労支援とデジタル教育が融合する形は、次世代の人材育成と地域経済の持続的成長に寄与すると期待される。
一方で、制度面でのリスクも存在する。ステーブルコインの法規制は各国で整備途上にあり、資金洗浄対策や利用範囲の制約が課題となり得る。
また、価格安定性が維持されなければ寄付の実効性にも影響が及ぶ可能性がある。今後は、このような事例を通じて暗号資産寄付の枠組みが広がるかどうかが焦点になるだろう。
他のフィンテック企業や金融機関が同様の仕組みに参入すれば、社会貢献の形そのものが変容する契機となると予想される。