ソフトバンクと東大、AI時代のデータ利活用へ 「xIPFコンソーシアム(仮称)」設立準備を開始

2025年9月12日、ソフトバンクと東京大学大学院情報学環 越塚研究室は、AIによるデータ利活用を実現する新たな枠組みとして「一般社団法人xIPFコンソーシアム(仮称)」を2025年度中に設立すると発表した。
10月7日には準備会を立ち上げ、企業や研究機関を中心に活動を本格化させる。
ソフトバンクと東大、データ基盤構築で新団体設立へ
ソフトバンク株式会社と東京大学大学院情報学環 越塚研究室は、「xIPFコンソーシアム(仮称)」を2025年度内に設立し、AIによるデータ利活用を可能にする基盤整備を進めると発表した。
これに先立ち、2025年10月7日に「xIPFコンソーシアム準備会」を発足させ、キックオフイベントを開催する。
準備会では、構想を広く共有し、企業や研究者との協働を促進する予定だ。
現代社会では、都市活動や企業活動、個人の行動から日々生成される膨大なデータを、安全かつ効率的に活用する仕組みが求められている。
しかし、従来の組織ごとのデータ管理には限界があるため、横断的な利活用には新たな基盤が不可欠である。
今回のコンソーシアムは、データの意味や文脈を整理し、AIが状況に応じて適切に予測や判断を行える「データスペース」の構築を主な目的としている。
ソフトバンクは2023年から「xIPF(超分散コンピューティング基盤)(※)」の開発を進めており、その知見を活用して本コンソーシアムを主導する。
同社は、AIデータセンターや計算基盤、さらに国産大規模言語モデル「Sarashina」との連携も視野に入れている。
東京大学 越塚研究室も、データ流通の高い相互運用性に関する研究成果を活かし、実装と国際展開を担う。
※xIPF(超分散コンピューティング基盤):ソフトバンクが開発する、分散型で大規模なデータ処理を可能にする次世代の計算基盤。
異分野連携で広がる可能性と課題
今回の取り組みは、日本社会が抱える複雑な課題の解決に資する可能性がある。
モビリティ、エネルギー、小売り、街づくりといった幅広い領域で、AIを活用した新たなサービスや価値創出が期待される。
たとえば、交通データと気象情報を組み合わせた災害時の対応強化や、購買データを活用した効率的な流通システムの構築などが想定できる。
しかし、組織間のデータ共有にあたっては、セキュリティやプライバシーの保護が大きな課題となるだろう。
また、異なる業界の利害調整やデータ形式の標準化といった実務的なハードルも少なくないはずだ。
これらをどう克服するかが、取り組みの成否を分ける重要な要素になると考えられる。
ソフトバンクと東京大学が中心となって築く新たな基盤は、日本発のモデルとして国際的に注目される可能性がある。
AI社会を支えるデータインフラ構築の一歩として、今後の展開は各業界から高い関心を集めそうだ。