米オープンAI、マイクロソフト向け収益分配率を8%に引き下げへ 追加収入500億ドルを見込むと報道

2025年9月12日、米報道機関「ジ・インフォメーション」は、人工知能(AI)大手オープンAIが提携先のマイクロソフトに対する収益分配率を現行の20%から8%へ段階的に引き下げる方針だと報じた。
両社の関係再編とAI事業の収益構造に大きな影響を与える動きである。
収益分配率を大幅引き下げ マイクロソフトへの依存軽減狙う
報道によれば、オープンAIは2030年までにマイクロソフトへの収益分配率を8%とする方向で調整を進めているという。
現行の20%からの大幅な引き下げであり、追加で500億ドル規模の収入を自社に残すことになると見込まれている。ただし、この金額が累計なのか年次ベースなのかは明らかにされていない。
オープンAIは同時に、マイクロソフトのサーバー使用料に関する条件見直しも協議していると伝えられている。
この背景には、オープンAIの営利企業としての再構築方針がある。
オープンAIはすでに、持続的なAI研究のために営利子会社を設立している。
11日には営利化を推進するため、マイクロソフトとの間で覚書が締結されており、両社の既存パートナーシップをさらに拡張する方針が示されている。
現行の条件下では、オープンAIは企業評価額5,000億ドルの約20%にあたる1,000億ドル超を受け取る構造になっており、両社の関係は深い。
今回の分配率見直しは、提携を維持しながらも、オープンAIが自社資本による成長余地を広げる試みとも受け止められる。
分配率見直しの波紋 資金力強化と関係再定義の両面
分配率引き下げはオープンAIにとって大きなメリットをもたらす可能性がある。自社に残る収益が拡大すれば、研究開発投資の拡充や市場シェア拡大に直結するからだ。
特に生成AI市場は、グーグルやアマゾン、Anthropicといった競合が急速に追い上げており、資金力強化は競争優位を維持するうえで欠かせない要素である。
一方で、マイクロソフトにとっては収益分配の減少がリスクとなる。
これまでAzureを中心にオープンAIと連携してきたが、収益性の低下が長期的な投資判断に影響する可能性は否定できない。
ただし、オープンAIのサービス利用を通じてクラウド需要が拡大することから、依然として戦略的な利益は残ると考えられる。
さらに、分配率引き下げは両社の関係を再定義する契機となりうる。拘束力のない合意に基づき再編が進められているため、今後の正式契約次第では提携形態が変化する余地もある。
オープンAIが収益配分の主導権を強めれば、資金調達やIPOの可能性が高まるだろう。
今後の焦点は、分配率引き下げに伴う資金再投資の具体策と、マイクロソフトとの協力関係をどのように持続させるかにあると言える。
AI業界における資本と提携の在り方を示す動きとして、世界的に注目を集めることになるだろう。
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