AI検索Perplexityに新たな訴訟 ブリタニカが著作権侵害で提訴

2025年9月10日、米国のThe Britannica GroupはAI検索サービスを運営するPerplexityを著作権および商標権の侵害で提訴したと発表した。
Britannicaは百科事典や辞書のコンテンツが無断で使われていると主張している。
ブリタニカ、Perplexityを提訴 8月には収益分配プラン導入も
Britannicaは9月10日、米国でAI企業Perplexityを著作権と商標権の侵害で提訴した。
訴状では、Perplexityがブリタニカ百科事典の文章やブランドを、ほとんどそのまま写して利用し、引用元を示さないケースがあると指摘されている。
同社の最高経営責任者Jorge Cauz氏は声明で「Perplexityは『世界初の回答エンジン』をうたっているが、消費者に提供する回答は、しばしばBritannicaの回答そのものだ」と述べ、自社の知的財産を守るための行動だと説明した。
また、同社は厳格な編集基準とファクトチェック体制を維持するため投資を続けてきたとして、信頼性の高さを強調した。
Perplexityは過去にも著作権訴訟の対象となってきた。
2024年にはNews Corp傘下のDow JonesやNew York Postが提訴し、2025年6月にはBBCが「文章をそのままコピーした」と主張して法的措置を警告した。
さらに日本では8月、読売新聞社が初めて提訴し、その後、朝日新聞社と日本経済新聞社も共同で訴えを起こしている。
こうした批判を受け、Perplexityは2025年8月に「Comet Plus」を導入し、提携パブリッシャーに収益を分配する仕組みを発表した。
AI著作権訴訟の波紋 収益分配は解決策となるか
今回の訴訟は、AIサービスが直面する著作権問題の深刻さを改めて示すものだと言える。
出版社や報道機関にとって、自社コンテンツが無断で利用されることは収益減少やブランド価値の低下につながる恐れがある。
長年の投資で築かれた編集や検証の体制が軽視されることへの反発が強いのも当然だろう。
一方で、利用者にとってAIによる即時的で網羅的な回答は大きな魅力がある。
Perplexityは「Comet Plus」を通じて収益分配を始めたが、これが権利者の不満をどこまで和らげられるかは不透明である。
大手メディアや百科事典のように交渉力を持つ組織は恩恵を受けやすいが、中小規模の提供者まで十分に行き渡るかは未知数だ。
今後の焦点は、AI企業とコンテンツ提供者の間で公正な収益分配やライセンス契約をどこまで制度化できるかに移ると考えられる。
合意形成が進まなければ訴訟がさらに広がり、AI検索や生成サービスの成長に制約を与える可能性もある。
逆に、透明で持続的な仕組みが整えば、利用者は信頼性を担保した情報にアクセスでき、業界全体の発展につながるかもしれない。
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