ラクスル、デジタルサイネージ市場に本格参入 全国30万面超を一元管理

2025年9月11日、ラクスルは国内のデジタルサイネージ市場に参入し、新プラットフォーム「ラクスルサイネージ」の提供を開始した。全国30万面以上のサイネージを一元管理・販売可能にし、広告効果の可視化も強化する。
ラクスル、サイネージ広告を効率化する新プラットフォーム提供開始
「ラクスルサイネージ」は、広告主が全国のサイネージ媒体を地図上で可視化し、比較や発注を効率的に行える仕組みである。マンション、コンビニ、映画館、商業施設などに設置された全国30万面超の小型サイネージを一元管理できるのが特徴だ。
広告主は目的に応じて最適な媒体の組み合わせを選び、オンラインで即座に施策を検討できる。広告出稿は最低2万円から対応しており、利便性とコストの両面で幅広い事業者が利用しやすい環境となっている。
さらに、アンケート調査や人流データを活用して広告効果を可視化する機能も備えている。
広告主は接触者の行動変化を把握しながらPDCAを回すことが可能になり、これまで課題とされてきた「効果の不透明さ」を解消する方向に踏み出した。
今回の取り組みにあたり、ラクスルは人流データ分析に強みを持つクロスロケーションズと業務提携を結んだ。
両社はターゲティング精度の向上や新サービスの共同開発を進め、サイネージ広告とスマートフォン広告を組み合わせたオンオフ統合型のマーケティングを展開する方針である。
効率化と低コスト化の波及効果、競争激化や信頼性確保が焦点
「ラクスルサイネージ」による効率化と低コスト化は、中小企業を含む多様な広告主に新たな選択肢を提供するものだと言える。
従来、大企業中心だったサイネージ広告市場の裾野を広げ、業界全体の活性化につながる可能性がある。
また、効果測定機能の導入により広告出稿の透明性が高まり、企業は投資対効果を明確に判断できるようになるだろう。
データに基づく改善サイクルが確立されれば、オフライン広告もデジタル広告に近い柔軟性を持ち、マーケティング戦略の精緻化が進むと考えられる。
一方、精度の高いデータ活用を前提とするため、信頼性が揺らげば期待との乖離が生じる恐れもある。媒体がプラットフォームに集約されることで価格競争が激化し、事業者間の収益確保が難しくなる可能性も否定できない。
今後は、広告効果の標準化やプライバシー保護の課題を克服できるかが焦点になりそうだ。
ラクスルが主導する仕組みが業界全体に広がれば、日本のオフライン広告市場に新たな成長局面をもたらす可能性があるが、その持続性は市場と技術の成熟度に左右されるだろう。