アニモカブランズジャパン、上場企業の暗号資産管理を包括支援へ

2025年9月11日、アニモカブランズジャパンが国内上場企業向けに「デジタルアセット・トレジャリー・マネジメント支援事業」を開始すると発表した。
暗号資産を活用した財務戦略を後押しし、企業の運用や管理体制を幅広く支援する。
国内上場企業向けに暗号資産トレジャリー事業を開始
アニモカブランズジャパンは、Web3分野の大手Animoca Brandsの戦略子会社として、国内の上場企業を対象に新サービスを展開する。
対象はデジタルアセット(※)を財務戦略に組み込みたい企業であり、価格変動リスクや技術的障壁に直面する経営層を包括的に支える。
近年、メタプラネットやリミックスポイントなどがビットコインをバランスシートに計上しており、市場でも円安リスクや資産多様化への関心が高まっている。
ただし暗号資産の管理は高度な知見を要するため、導入に踏み切る企業は限られてきた。
同社はこれまでIPのグローバル展開や海外Web3プロジェクトの日本進出支援を担ってきた実績を持つ。今年4月から一部企業に試験導入を行っており、今回の正式事業化はその延長線上に位置づけられる。
提供されるサービスは、ポートフォリオ策定からDeFi運用、ウォレット構築、内部統制体制の整備まで多岐にわたる。
さらに投資家との信頼形成に欠かせないIR活動の支援も含まれており、資産運用だけでなく資本市場での評価向上も視野に入れている。
※デジタルアセット:ブロックチェーン技術を基盤に発行・取引される資産の総称。暗号資産やNFT、トークン化証券などが含まれる。
企業財務の新潮流 メリット拡大とリスク対応の両立が鍵
この事業がもたらす最大の利点は、企業がデジタルアセットを戦略的に保有できる環境を整える点にある。管理や運用を外部の専門家に委ねられることで、リソースを本業に集中させつつも、新しい資産クラスを取り入れることが可能になると考えられる。
特に円安下での資産防衛策としては、ビットコインなどの暗号資産が代替手段となる可能性がある。国際的な投資家とのコミュニケーションを意識したIR支援も組み合わせることで、企業の株主価値を高める余地は大きいと考えられる。
一方で、価格変動リスクが避けられないのも事実だ。
ステーキングやイールドファーミングは収益機会を広げるが、同時に資産毀損の可能性もはらむ。こうしたリスクを適切にコントロールできるかどうかが事業成功の分岐点になりそうだ。
また、金融商品取引法や資金決済法に抵触しない範囲でのサービス提供が前提とされている点も注視すべきだろう。規制環境の変化に応じてサービスを柔軟に再設計できるかどうかが、日本市場での普及を左右すると言える。