アリババグループ、地図アプリにAI強化 JDドットコム・美団と消費者争奪戦

2025年9月10日、中国のアリババグループが地図アプリAmapにAI機能を搭載し、10億元(約210億円)規模の消費促進策を打ち出したと発表した。JDドットコムや美団との競争が一段と激化している。
AmapにAIランキング機能、210億円規模の利用促進策
アリババグループは10日、地図アプリAmapにAIを用いたランキング機能を導入すると発表した。
Amapは中国で最も利用される地図アプリで、レストランやホテル、観光地などをAIが順位付けする。
今回、「Amap」の利用を促すため、10億元(約210億円)規模の消費促進予算が投じられる。
また、新機能として、配車サービスや外食サービスでの支出を補助するインセンティブが打ち出されている。
こうした戦略は、外食や観光情報を強みとする美団の中核領域に直接切り込むものであり、発表当日に香港市場でアリババグループの株価は上昇した。
一方、美団は直後に自社AIによる評価システム強化やテイクアウト割引策を発表し、競争が一段と激しさを増している。
AI導入は差別化の好機、同時に信頼性リスクも
アリババグループにとって、AIによるランキング導入は競合との差別化を図る好機となり得る。近年、美団のレビューは信頼性低下を指摘されているため、データ分析に基づく客観的評価を提供できれば、ユーザーからの支持を集めやすいと考えられる。
精度の高いランキングが実現すれば、レストランやホテルなど事業者からの広告出稿も増え、Amapの収益基盤が拡大する可能性があるとみられる。
ただし、AI評価が消費者の実体験と乖離した場合、かえって不信感を招き利用離れを起こす懸念もある。AIの判断基準が不透明であれば、「操作されている」という疑念が生じ、ブランド価値を毀損しかねないだろう。
さらに、美団やJDドットコムなどの競合に対して優位性を維持するには、継続的な技術改善が求められそうだ。
今後は、AIの透明性確保とデータ品質の担保が競争力を左右するとみられる。Amapが信頼性の高い情報基盤を築き、消費者と事業者双方に選ばれる存在になれるかが注目される。