シャープリンク、イーサリアム収益を背景に自社株買い開始 株主価値向上へ

2025年9月9日、米シャープリンク・ゲーミング社は自社株買いプログラムの実行開始を発表した。
同社は世界で2番目に大規模なイーサリアム保有企業であり、株価が過小評価されていると判断したことが背景にある。
シャープリンク、ETH収益を背景に自社株買いへ
米シャープリンク・ゲーミングは9月9日、自社株買いプログラムを正式に開始した。
市場で自社株が純資産価値(NAV)を下回って取引されている状況を踏まえ、株主還元策として踏み切った。
今回の買い戻しでは、約93万9,000株を平均15.98ドルで取得したことを明らかにしている。
シャープリンクは世界有数のイーサリアム保有企業で、総額は約36億ドルに達する。
また、特筆すべきは負債ゼロの健全な財務基盤を維持している点である。
保有するイーサリアムのほぼ100%がステーキングされており、そこから年間6,700万~1億5,100万ドルの収益を見込める構造を築いている。
さらに同社は、株価が割安に放置されている間は株式売却のためのATM制度(※)を利用しない方針を再確認した。
今後も市場環境を見ながら、現金やステーキング収益を活用した追加の買い戻しを検討するとしている。
なお、世界最大のイーサリアム保有企業であるビットマインも先月、自社株買いを実施しており、業界全体で株主還元策の動きが広がっている。
※ATM制度:企業が市場で新株を随時発行し資金調達する仕組み。
株主還元と市場戦略 強固な財務基盤が後押し
今回のシャープリンクの決定は、暗号資産保有企業が従来型の株主還元策を取り入れる動きとして注目される。
豊富なETH収益を背景に自社株買いを実施することは、株主にとって短期的な株価下支え効果をもたらすだけでなく、中長期的には市場での信頼性を高める契機になると考えられる。
一方で、暗号資産価格は高いボラティリティを持っているため、仮にETH相場が急落すれば、ステーキング収益も直ちに圧縮され、資金余力に影響を及ぼす可能性がある。
自社株買いを拡大しすぎた場合、資金繰りの柔軟性が低下するリスクは否定できない。
しかし、シャープリンクは負債ゼロという異例の財務体質はリスク耐性を高めている。
特に、資産価値に裏打ちされた企業が株主還元を積極的に行うことは、市場全体の評価基準を押し上げる契機になりうる。
業界では、世界1位のイーサリアム保有企業であるビットマインに続く動きとしてシャープリンクの決定が波及効果を持ち、他の暗号資産関連企業も同様の施策を取る可能性がある。
今後は、株主還元を軸にした経営姿勢が暗号資産業界でどの程度浸透するかが焦点となるだろう。