シルバーエッグ、AIパーソナライゼーション強化 　Aigent Xに独自技術搭載

2025年9月8日、AIを活用したデジタルマーケティング事業を展開するシルバーエッグ・テクノロジーは、同社のAIパーソナライゼーションプラットフォーム「Aigent X」に新技術「コンテキスト・インテリジェンス」を搭載したと発表した。

文脈を読み解き顧客に最適化　新技術をAigent Xに導入

シルバーエッグ・テクノロジーは、AIパーソナライゼーションプラットフォーム「Aigent X」に「コンテキスト・インテリジェンス」と呼ぶ独自技術を組み込み、従来型の購買履歴ベースのアプローチに比べ、顧客理解の幅と深さを大きく広げるのが狙いである。

同社によれば、既存のパーソナライゼーションシステムに比べて10〜20％以上のコンバージョン（※）向上が期待できるという。

同技術は、サイト内の閲覧・購買行動や顧客の基本属性に加え、流入経路、時間帯、使用デバイス、さらには外部環境データまで数十種類以上の要素を解析対象とする。

Aigent X自体は、従来のレコメンドサービス「Aigent」を発展させたプラットフォームであり、各企業の業種や事業特性に合わせてアルゴリズムを最適化できる点も強みとされる。

※コンバージョン：ECサイトやアプリで、商品購入や会員登録など企業が目標とする成果が達成されること。

高度化する顧客体験　規制対応とリスクの両面

今後、AIパーソナライゼーションは「精度」と「信頼性」の両立が重要なテーマになるだろう。特に欧州のGDPRや日本の個人情報保護法など、規制環境が厳格化する中で、透明性を確保しながら精度を高める仕組みが求められていくと考えられる不可欠となる。

規制対応を前提に設計された技術が主流となっていく可能性があり、プライバシー保護を強調する企業ほど市場で優位に立つと考えられる。

また、単なる販売促進を超えて、顧客との長期的な信頼関係を築くインフラへと進化する見通しもある。特に小売やECにとどまらず、金融やヘルスケアといった高付加価値領域にも展開が広がる可能性があるだろう。

その一方で、過剰なパーソナライズが「顧客の行動を操作している」と受け止められるリスクも存在する。したがって、今後は顧客に選択権を与える仕組みや、アルゴリズムの説明可能性を強化する動きが鍵になると見られる。