ストラテジー会長マイケル・セイラー氏、資産1兆円超で億万長者500位入り

2025年9月6日、米ストラテジー社のマイケル・セイラー会長が、ブルームバーグ発表の世界の億万長者トップ500にランクインした。資産評価額は73億7,000万ドル(約1兆円)に達し、暗号資産関連企業経営者としての存在感を示している。
ストラテジー社株急騰でセイラー氏の資産が急増
ストラテジー社の株価上昇により、セイラー氏の資産は73億7,000万ドルとなり、ブルームバーグ・ビリオネア指数491位に入った。年初来で資産は約15.8%増加しており、その大部分はビットコイントレジャリー企業(※)としての株式評価によるものだ。
個人保有のビットコインについては、2020年10月時点で17,732BTCと本人が公表していたが、現在の正確な保有量は確認できず、ランキング算定には反映されていない。
米国内外の暗号資産業界では、バイナンス創業者CZ氏が445億ドル、コインベースCEOアームストロング氏が128億ドルでそれぞれ40位、234位に位置している。
ストラテジー社は2025年9月2日、ビットコイン4,048 BTCを約667億円で追加購入し、総保有量は636,505 BTCに達した。これにより企業としての仮想通貨エクスポージャーをさらに強化している。
一方で、同社はS&P500指数への組み入れが期待されていたが、5日に編入されないことが判明し、株価は一時約2.8%下落した。ブルームバーグETFアナリストのエリック・バルチュナス氏は、委員会の判断による組み入れ拒否が要因だと分析している。
同社株価は過去一年で約170%上昇したものの、ビットコイン資産に対するプレミアムは縮小傾向にある。背景には、トレジャリー企業間の競争激化や仮想通貨への投資手段の多様化があるとされる。
※ビットコイントレジャリー企業:企業が自社資産の一部または大部分をビットコインで保有し、財務戦略や投資戦略に組み込む企業形態。財務リスクと価格変動の影響を受けやすい。
今後の展望とリスク 仮想通貨企業株の評価変動に注目
セイラー氏のランキング入りは、暗号資産企業の株式価値が富豪ランキングに直結する例として注目される。
ストラテジー社のビットコイン買い増しは短期的に株価を押し上げる効果が見込まれるが、トレジャリー企業間の競争激化で株価プレミアムが圧縮されるリスクもある。
S&P500非採用による株価調整は、今後も株式市場での評価変動要因となり得る。投資家は企業の仮想通貨保有戦略と市場環境の両方を慎重に見極める必要があるだろう。
さらに、暗号資産への依存度が高い企業は規制リスクや市場流動性の影響を受けやすいため、急激な資産評価の変動が資産ランキングや資本調達に影響する可能性がある。
その一方で、デジタル資産に対する長期的な需要が継続すれば、トレジャリー戦略を軸とした企業価値の上昇も期待できる。
株式市場での動きと暗号資産価格の連動性を注視することが、今後の富豪ランキングの変動予測において重要になりそうだ。