ソラナ、次世代アップデートで取引承認時間を大幅短縮へ 98%の賛成で「アルペングロー」承認

2025年9月2日、ソラナ(Solana)のコミュニティが次世代アップグレード「アルペングロー(Alpenglow)」の導入を投票で承認したことが、ソラナ財団運営の公式Xアカウント「ソラナステータス(Solana Status)」により明かされた。
賛成率は98%に達し、史上最大規模の技術刷新が正式に動き出すこととなった。
投票で圧倒的支持、史上最大の技術刷新へ
「ソラナステータス」の投稿によると、実施されたガバナンス投票では、次世代アップグレード「アルペングロー」の投票が行われた。
ステーカー全体の52%が参加し、そのうち98.27%が賛成票を投じた一方で、反対票は1.05%にとどまり、棄権は0.69%であり、圧倒的な支持を受けていることがわかった。
今回承認された「アルペングロー」は、ネットワークの処理効率を根本から改善する大規模なアップデートである。
最大の変更点は、新たなコンセンサス設計の導入だ。
従来は「プルーフ・オブ・ヒストリー(Proof-of-History)」がトランザクションの順序を管理し、「タワーBFT(Byzantine Fault Tolerance)」がバリデーター投票(※)を担っていた。
今後は「ボーター(Votor)」と「ローター(Rotor)」という新コンポーネントがこれらに取って代わり、承認時間やネットワーク効率が劇的に向上する。
特にボーターは、取引のファイナリティタイムを従来の12秒以上から約150ミリ秒へと短縮し、ユーザーにほぼリアルタイムの承認体験を提供する。
一方、ローターは段階的に実装予定であり、バリデーター間のデータ転送を最小限に抑える仕組みである。
※バリデーター投票 : 各取引が正当かどうかを分散的に検証し、多数決によってネットワーク全体で合意を形成する仕組み。ブロックチェーンの安全性を支える根幹的なプロセスである。
高速化とスケーラビリティ強化、リスクも伴う可能性
アルペングローの導入による最大の恩恵は、取引ファイナリティの劇的短縮にある。
承認時間が大幅に圧縮されることで、決済や高速取引における優位性は一気に高まるだろう。
さらに、バリデーター間の通信削減を目的とするローターの実装は、ネットワーク負荷の高いDeFiやブロックチェーンゲーム分野で効率性を押し上げる可能性がある。
一方で、短期的な課題も無視できない。新たなコンセンサス機構は実証段階が少なく、セキュリティや安定性の検証が追いついていないリスクを孕む。
特にリアルタイム承認の実装は、悪意ある攻撃やシステム障害の際に、従来以上の影響をユーザーに与える危険性がある。
今回のアップデートは、ソラナを「高速処理に特化したチェーン」という評価から、「金融・エンタメ両領域での実用インフラ」へと押し上げる契機になると考えられる。
特に高頻度取引やオンチェーンゲーム、リアルタイム通信が求められる分野においては、既存チェーンとの差別化が鮮明になるだろう。
成功の可否は、実装後の安定性に左右されるとみられる。