メルカリ、不正対策やサポート状況を公開 「透明性レポート」を初公表

2025年9月1日、株式会社メルカリは利用者の安心安全な取引環境の構築に向けて、不正対策やサポートの取り組み状況をまとめた「透明性レポート」を初めて公開した。
AI活用による不正監視や補償制度の導入成果を数値で示し、今後も定期的に発表する方針だ。
不正対策と補償制度の成果を数値で公表
メルカリが公開した透明性レポートでは、2025年上半期における不正対策やサポートの具体的な成果が明らかにされた。
利用者のトラブル遭遇率は0.4%まで低下し、2023年下半期と比べ0.16ポイント改善した。
また、取引における本人確認の強化も進展した。
eKYCを必須化し、利用フローを改善した結果、本人確認済ユーザーによる取引割合は76%に達し、前年下半期より8ポイント上昇した。
安全性を担保する仕組みとして定着しつつある。
セキュリティ面では、スマートフォンの生体認証を利用する「パスキー」登録者数が1000万人を突破した。
登録済みアカウントでフィッシング被害は確認されておらず、安全性の高さが裏付けられた。
さらに、有料の「あんしん鑑定サービス」が対象ブランド取引で標準化され、利用可能商品は半年間で約2.4倍の36万点に増加した。
不正防止に向けては、新規アカウントの利用制限率が12ポイント上昇し、リスクの高い利用者を未然に排除する体制が強化された。
これはAIによる不正検知による効果とされる。
2024年末に開設された「商品回収センター」によって補償の迅速化も進み、補償完了までの平均所要時間は16時間短縮。48時間以内に補償が完了する割合は93%に達した。
透明性と信頼確保、今後の課題は継続的な運用
今回のレポート公開は、メルカリが取引の透明性を高め、利用者の信頼を獲得する取り組みの一環と位置づけられる。
不正利用を徹底的に排除し、正規利用者を保護する方針は、プラットフォームの成長に不可欠であり、数値として改善が示された点は大きな成果と評価できる。
透明性を確保することで利用者の安心感が高まり、取引拡大につながる可能性があることは大きなメリットだろう。
加えて、偽ブランド品排除に向けた「メルカリ鑑定センター」の設立は業界全体に波及効果を及ぼす可能性もある。
一方で、課題も存在する。
不正利用の手口は常に進化しているため、AIによる検知精度や補償スキームも継続的な改善が必要となるだろう。
また、補償や監視体制の強化はコストを伴うと考えられるため、どのようにバランスを保つのかが今後の重要なテーマとなりそうだ。
警察や行政機関との情報連携も示唆されているが、これは個人情報保護との両立が不可欠であると考えられるため、透明性とプライバシー保護のバランスをメルカリがどのように保つのかについても、引き続き注視したい。