博報堂テクノロジーズ、企画業務を刷新 マルチAIエージェント「Nomatica 2.0」を提供開始

2025年8月28日、博報堂DYグループ傘下の博報堂テクノロジーズは、マルチAIエージェントシステム「Nomatica(ノーマティカ)」を進化させた最新版「Nomatica 2.0」を発表した。
日本発の本サービスは、調査から資料作成までを一気通貫で支援し、企画業務の効率化を狙う。
30超のAIエージェントが連携 調査から資料作成まで自動化
博報堂テクノロジーズが発表した「Nomatica 2.0」は、従来版が得意としてきた企画立案の機能を拡張し、調査・戦略立案・資料作成といった業務全体をカバーするプラットフォームへと進化した。
最大の特徴は、30を超える人格や専門知識を持つAIエージェントが協調し、生活者や専門家の視点を取り入れた提案を自動的に生成する点である。
新機能として「コンシェルジュAI」が搭載され、ユーザーの意図を対話形式で理解し、最適なエージェントやプロンプト(指示文)を自動的に選定する仕組みが導入された。
また、ウェブ上の膨大な情報を解析し、出典付きの調査レポートを作成する「Deep Research機能」、さらにデザイン性を備えたスライド資料を数分で自動生成する「デザイン資料作成機能」も加わった。
調査レポートは1万字超のボリュームに対応し、資料は10枚以上のスライド作成が可能になった。これにより、従来数週間かかっていた作業を短縮でき、企画から市場投入までの期間は従来比1.5〜2倍のスピード化が期待される。
さらに、アイデアの創出量は約2〜3倍に増え、担当者の業務工数は平均40%削減、外部委託費用を含めた年間コストは約30%減少すると試算されている。
料金体系は月額90万円(10アカウント)から設定され、企業利用を前提とした価格帯となる。
業務効率化と創造性の両立 企業の導入に広がる可能性
「Nomatica 2.0」がもたらす最大の利点は、企画業務のスピードと質を同時に引き上げる点にある。
従来、調査や資料作成に時間を割かれていた担当者は、創造的な発想や戦略構築により多くのリソースを投じられるようになるだろう。これにより、広告やマーケティングのみならず、新規事業開発や商品戦略など、幅広い領域での活用が見込まれる。
一方で、リスクも存在する。
AIによる自動生成が進むほど、人間の判断力や独自性が損なわれる懸念がある。特に市場分析やクリエイティブ業務では、独自視点や文化的文脈が欠けたアウトプットが生じる可能性を否定できない。
また、導入コストの高さは中小企業にとって障壁となるだろう。
ただし、外部委託費用の削減や業務効率化の効果が数値で示されている点は大きな説得力を持つ。大手広告代理店やコンサルティング企業が先行して導入し、やがては金融、製造、小売など異業種への展開も視野に入ると考えられる。
企業が求めるのは単なる効率化ではなく、競争優位を生む企画力であることが多い。
「Nomatica 2.0」は、その要求に応えられるシステムとなりそうだ。
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