Aave「Horizon」公開 RWA担保で機関投資家がステーブルコイン借入可能に

2025年8月28日、分散型金融(DeFi)の大手Aaveは、イーサリアム上に新たなレンディング市場「Horizon」を立ち上げたと発表した。
機関投資家がトークン化した現実資産(RWA)を担保に米ドル建てステーブルコインを借り入れ可能にする仕組みで、DeFi領域でのRWA活用拡大を目的とする。
Aave、RWA担保の機関投資家向け市場「Horizon」を開始
Aaveが新たに展開した「Horizon」は、資格を持つ機関投資家がRWA(※)トークンを担保にステーブルコインを借り入れることができるレンディング市場である。
今年3月に発表された「Project Horizon」の具体化であり、RWAトークン化の需要拡大を背景に開発が進められてきた。
Horizonは過剰担保型であり、Aave Protocolの最新版であるバージョン3を基盤として設計されている。
規制要件を満たす許可型RWAトークンに対応し、取引はスマートコントラクトで自動実行される。ユーザーが自分の秘密鍵を管理する、ノンカストディアル型インフラであることが特徴だ。
ローンチ時点で担保資産として認められるのは、Superstateの短期国債ファンドをトークン化した「USTB」など4資産である。
さらに、サークル社のマネー・マーケット・ファンドをトークン化した「USYC」が追加予定だとされる。
一方、借り入れ可能な通貨は、Aaveの独自ステーブルコイン「GHO」、リップル社の「RLUSD」、サークル社の「USDC」の3種類となる。
参加企業には、リップル、サークル、Superstateのほか、VanEckやSecuritizeなど著名な金融プレイヤーが加わっており、仮想通貨領域の注目を集めている。
※RWA(Real World Assets):不動産や国債、ファンドなど実世界の資産をブロックチェーン上でデジタルトークン化したもの。DeFiの活用により、現実資産と暗号資産の橋渡しを担うと期待されている。
Aaveの「Horizon」が示すRWA活用の可能性
Aaveが機関投資家向けに立ち上げた「Horizon」は、RWAを担保にステーブルコインを借り入れる仕組みを備えており、分散型金融に現実資産を取り込む新たな枠組みを提示したと言える。
従来の暗号資産中心の担保モデルに比べ、短期国債やマネー・マーケット・ファンドといった伝統的資産を組み込むことで、信用度の高い資産を基盤としたレンディングが可能になっ大義は大きい。
一方で、過剰担保型かつ規制要件を満たす許可型トークンに限定されていることから、汎用性や流動性の面では制約が残る。
スマートコントラクトによる自動実行やノンカストディアル型インフラは透明性と効率性を高めるが、法的整備の不確実性が普及速度を左右するだろう。参加企業にはリップルやサークルといった主要プレイヤーが加わり、金融業界を挙げての試験的展開となっている点は注目に値する。
今後はRWAトークンの種類拡大と、規制環境の進展が普及の鍵となると考えられる。
HorizonはDeFiと伝統金融の融合に向けた重要な一歩であり、実効性が確認されれば他の市場にも波及する可能性が高いと言えるだろう。