デル・テクノロジーズ、AI基盤を刷新 ElasticとNVIDIA連携で生成AI活用を加速

2025年8月20日、デル・テクノロジーズは企業向けAI基盤「Dell AI Data Platform」の機能強化を発表した。
非構造化データ処理とGPU活用でAI導入を容易に
デル・テクノロジーズは、企業がAIを迅速に導入・拡張できるよう「Dell AI Data Platform」を大幅に強化した。
具体的には、Elasticとの協業と、NVIDIAの最新GPUの採用を柱とする。これにより、非構造化データの取り込み、変換、検索を効率化し、生成AIに必要なデータ活用環境を整える。
多くの企業では膨大なデータが存在するものの、実際に生成AIで活用できるデータは限られている。その課題を解消するためには、データの継続的なインデックス作成や埋め込み表現による高速で正確なセマンティック検索をするベクトル検索(※)エンジンが必要不可欠となってくる。
同社は新しい非構造化データエンジンを導入した。これにより、膨大なデータセットが生成AIのための信頼性の高い高品質なリアルタイム インテリジェンスに変換される。
また、Dell AI Data Platformと「NVIDIA AI Data Platformリファレンスデザイン」を連携させ、GPUアクセラレーションによる検証済みソリューションを提供する。
さらに、NVIDIAの最新GPU「RTX PRO 6000 Blackwell Server Edition」を搭載した新型サーバー「Dell PowerEdge R7725」を投入。これにより、AIワークロードの高速化と複雑な処理への対応が可能となり、企業はAI向けのインフラを迅速に導入できるターンキーソリューションとして導入が容易になる。
※ベクトル検索:テキストや画像を数値ベクトルに変換し、意味的な近さを基準に検索を行う技術。生成AIの知識検索やレコメンデーションで広く活用される。Elasticはベクトル検索技術に強みを持つ。
AI活用の民主化と投資負担の二面性
今後、同社のAI基盤は専門人材以外でも利用可能になる「AI活用の民主化」を推し進める方向に作用すると見られる。データ準備や検索の自動化が進むことで、従来専門人材が不可欠だった領域を一般のエンジニアや業務部門でも扱えるようになる流れは加速するだろう。
その結果、生成AIを業務に組み込むスピードは格段に早まると予測できる。
ただし、普及が一様に進むわけではない。資本力を持つ大手企業は競争優位を確立する一方で、中堅・中小企業は投資負担とのバランスに苦しむ構図が強まる可能性がある。
そのギャップを埋めるために、クラウド型の提供モデルや段階的な導入プランが不可欠になるはずだ。
また、ElasticやNVIDIAといった主要パートナーとの連携強化は、同社のプラットフォームを業界標準に押し上げる契機となる可能性がある。
2025年下半期の提供開始以降、国内外での導入事例が拡大すれば、生成AIインフラの「デファクトスタンダード」として位置づけられる可能性が高い。
デル・テクノロジーズ株式会社 プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000350.000025237.html