AI技術が変える職場文化 「オフィス不要」と考える労働者が過半数に

2025年8月19日、IT企業GoToと市場調査会社Workplace Intelligenceは、AIが働き方に与える影響を調査した結果を公表した。
10カ国2500人を対象にした調査では、半数以上が「AIはオフィス勤務を不要にする」と回答し、勤務形態の変化が浮き彫りになった。
国際調査で51%が「AIでオフィス不要」と回答
今回の調査はオフィス勤務者、ハイブリッド勤務者、リモート勤務者を含む計2500人を対象に行われた。
その結果、生成AIやAI搭載のコラボレーションツール、自動化技術によって働き方の柔軟性が高まっている実態が明らかになった。
回答者の51%が「AIは物理的なオフィスを不要にする」と答えており、従来の勤務形態に対する認識が変化していることが浮き彫りになった。
さらに、71%が「AIはワークライフバランスを改善する」と感じ、66%は「どこからでも生産性を維持できる」と答えた。
また、65%はリモートワークでも顧客へのサービス提供が向上すると回答しており、AI活用の効果が複数の側面で確認された。
GoToのCEOリッチ・ヴェルドラン氏は「AIは、もはや便利なツールという枠を超え、働き方の未来を形作る基盤へと急速に進化している」と強調した。
柔軟性拡大の一方で、職場の課題も残存
今回の調査は、AIが生産性や従業員の幸福度を向上させるという企業の主張を裏付ける内容となった。
単純作業から人間を解放するという期待は大きく、柔軟な働き方を可能にする点はメリットといえる。
一方で、AIエージェントの普及が人間の主体性を損なう懸念や、過剰な利用による思考力低下、燃え尽き症候群の拡大といったリスクも存在する。
特にオフィス不要論は魅力的である反面、組織文化の維持や人間関係の構築には課題が残る。
直接的な対話や偶発的な交流が生み出すアイデアや信頼関係は、リモート環境では補完が難しい場合が多い。
今後は、AIによる効率化と人間らしい協働をどう両立させるかが焦点になるだろう。
テクノロジーの進展がもたらす柔軟性を取り込みつつ、働く意義やコミュニケーションの価値を再定義する必要があると考えられる。
AIが加速させる変化の中では、単なるツール導入にとどまらず、従業員の精神的な健康や主体性を守る施策をいかに構築するかが、企業の大きな課題となるはずだ。