KDDI、AI・ロボット起点の空間デザイン事業を発表 オフィスDXを支援

2025年8月19日、KDDIは法人向けの新サービス「KDDI Smart Space Design」の提供を開始したと発表した。
通信やAI、ロボットといったテクノロジーを起点に、オフィスや工場などの空間を設計から運用まで一貫して支援する事業で、日本国内におけるオフィス環境の課題解決を狙う。
テクノロジー起点の空間設計で課題解消
KDDIは、オフィスや倉庫、工場といった法人空間を対象に、通信やAI、ロボット導入を前提にした設計を行う「KDDI Smart Space Design」を開始した。
同サービスでは、企画段階から技術要件を取り込み、効率的な構築を可能にする。
那谷雅敏執行役員常務は「従来のオフィスづくりでは、建物の設計が完了した後に通信やテクノロジーの導入が始まるため、Wi-Fi環境の不備やロボット導入のための動線が確保できないといった手戻りや追加コストが発生していた。KDDI Smart Space Designは、この課題を解決するため、コンセプトの策定段階からテクノロジーを起点に空間を設計する」と強調した。
KDDIは1989年から通信インフラ整備に関与しており、2024年度だけで約8000社のオフィス案件を手掛けた実績がある。
さらに、KDDI高輪本社でのロボット活用や人流データ解析の知見を反映させ、KDDIエンジニアリング、アルティウスリンク、ラックなど関連会社やパートナー58社と連携して提供を進める。
同日の会見ではオフィス事例が中心に紹介されたが、将来的には倉庫や工場、商業施設や街づくりまで対象を広げる構想も語られた。
オフィスDXが広げる産業空間の未来
KDDIが発表した「KDDI Smart Space Design」は、従来型のオフィス設計の制約を越え、通信やAI、ロボットを基盤に据えた空間づくりを可能にする点が注目できる。
設計段階から技術要件を盛り込むことで、Wi-Fi環境の不備やロボット導線の欠如といった従来の課題が解消される可能性が高い。
これは単なる業務効率化にとどまらず、企業の働き方改革や生産性向上の基盤にも直結すると考えられる。
また、KDDIは、通信インフラ整備や大規模オフィス構築で豊富な実績を持つが、そこにロボット活用や人流データ解析の知見を加えることで、空間を単なる「働く場所」から「情報が循環し最適化される場」に進化させようとしているのだと考えられる。
現時点ではオフィス事例が中心に語られているが、今後は工場や倉庫、商業施設、さらには街づくりへと適用範囲が広がる展開が見込まれる。
この動きが広がれば、空間そのものをサービスとして月額課金で提供するビジネスモデルも現実味を帯びてくるだろう。
空間DXの概念が社会に浸透すれば、建築と通信の境界は曖昧になり、都市開発や地域産業にも影響を及ぼすことになりそうだ。