米SEC・FRB、仮想通貨規制方針を大転換 米市場で新時代到来

2025年8月20日、米証券取引委員会(SEC)のポール・アトキンス氏と連邦準備制度理事会(FRB)のミシェル・ボウマン氏が、仮想通貨規制の抜本的転換を宣言した。
SEC・FRB、仮想通貨規制で従来方針を一新
SECのポール・アトキンス委員長は、ワイオミング・ブロックチェーン・シンポジウムで、仮想通貨プロジェクトに対する「執行による規制」アプローチを完全に終了すると明言した。
また、FRBのミシェル・ボウマン副議長も、米中央銀行が「分岐点」に立っていると指摘した。「イノベーションを受け入れて未来を形作るか、取り残されるリスクを負うかの選択だ」と述べている。
FRBは4月に、銀行の仮想通貨・ステーブルコイン活動参加を阻害してきたガイダンスを撤廃し、6月以降は監督プログラム終了や銀行審査からの「風評リスク」削除の措置を実現している。
アトキンス委員長が先月開始した「プロジェクト・クリプト」では、仮想通貨をデジタル・コレクティブル、デジタル・コモディティ、ステーブルコインに分類する明確なガイドライン策定を目標にしていた。
大半の仮想通貨は証券ではないとの立場を示すことで、ハウィー・テスト(※)に関する混乱解消を目指す方針だ。
今回の両規制当局の発言は、米国の仮想通貨政策は「米国を世界の仮想通貨首都にする」トランプ政権のビジョンに沿った政策転換と位置づけられる。
※ハウィー・テスト:米国で仮想通貨などが証券に該当するかを判断する基準。投資契約性や利益期待の有無などを評価する。
規制転換の影響と今後の金融イノベーション展望
米国の仮想通貨市場は、今回の方針転換を契機に、国際競争力を高める方向に向かうと考えられる。
明確なルール整備と規制の安定化により、新規プロジェクトや既存企業の活動が活発化し、Web3やオンチェーン決済の普及が加速する可能性がある。
また、金融機関の参入によって仮想通貨と既存金融システムの融合が進み、従来の銀行サービスや資金調達の枠組み自体も変化するだろう。
しかし、市場の過熱や新規参入者によるボラティリティ上昇のリスクも残るため、SECやFRBによる適切な監督と透明性確保は不可欠と考えられる。
米国が仮想通貨・デジタル資産のグローバルハブとして位置付けられるかどうかは、規制と市場のバランス調整次第であると言えるだろう。