ダイレクトクラウド、生成AI「DirectCloud AI」無料提供で業務効率化

2025年8月19日、国内クラウドストレージ事業を展開するダイレクトクラウドが、生成AIサービス「DirectCloud AI」を全有料プランの標準機能として、9月18日から提供開始すると発表した。追加料金なしで利用できる点が特徴となる。
DirectCloud AI、企業文書の要約やQ&A自動生成を可能に
ダイレクトクラウドが発表した「DirectCloud AI」は、クラウドストレージに蓄積された社内文書やメールデータを生成AIで活用できる機能を備えている。
従来のファイル共有に加え、AIによる要約や質問応答を組み合わせることで、業務効率を大幅に向上させる狙いがある。
具体的には、メールデータ(EMLファイル)からQ&Aを自動生成する仕組みを実装しており、顧客対応で送受信したメールをストレージに保存すると、ナレッジとして活用できるテキストが生成される。
これにより社内情報の鮮度を維持しながら、問い合わせ対応を迅速化できる。
また、RAG(※)に対応しており、既存マニュアルや外部情報を活用する場合に比べ、回答の品質が安定する。社内テストでは問い合わせ対応の工数を約50%削減できたとされ、顧客サポート部門の負担軽減に直結する結果が示された。
さらに、会議の議事録やプレゼン資料などを要約できるため、重要なポイントを短時間で把握できる。
加えて、チャットボット機能によって、社内の誰もが自然な形でAIを利用できる。
複数のフォルダーやチャットルームを切り替えてプロジェクト単位で活用できる仕組みも整備されている。
※RAG(Retrieval-Augmented Generation):検索技術と生成AIを組み合わせ、情報の正確性を高める仕組み。
導入負担を抑えたAI統合 業務効率化と情報漏洩リスクの両面を考える
DirectCloud AIの大きな強みは、追加料金なしで全プランに搭載される点にある。コストを理由にAI活用を見送っていた中堅・中小企業にとっても、導入ハードルが下がることは明らかであり、競争力強化の一助となりうる。
業務フローに自然に組み込まれる設計も評価できる。
AI機能がクラウドストレージに統合されたことで、利用者も違和感なく業務に取り入れられるだろう。結果として、組織全体の情報共有や意思決定が迅速化する効果が期待できる。
一方で、AIが自動で要約や回答を生成する仕組みは、誤った情報がそのまま利用される可能性をはらむ。さらに、クラウド上でのデータ処理である以上、セキュリティ管理の徹底は避けて通れない課題である。将来的に社内ナレッジの活用が広がり、バックオフィス業務や営業活動へのAI浸透が進む可能性があるが、その普及には信頼性の担保が重要な鍵となりそうだ。
企業はコスト削減効果とリスク管理の両面を見極めながら、AI統合の最適解を模索する局面にあると言える。