IFS、英7bridgesを買収 AIで産業サプライチェーン最適化を強化

2025年8月18日、スウェーデン本社のエンタープライズソフトウェア企業IFSは、AIを活用したサプライチェーンマネジメントを提供する英国7bridgesの買収を発表した。
物流最適化機能の強化により、産業用AI分野での競争力向上を目指す。
IFS、7bridges買収でAI物流最適化を推進
IFSは8月18日、英国発のサプライチェーンマネジメント企業7bridgesを買収すると発表した。
7bridgesは、高度なAIシミュレーションとアナリティクスを組み合わせ、複雑化する物流ネットワークの自動化や最適化を実現する技術を強みとする。
これにより、企業は迅速かつ低コストでデータを取得し、セマンティックデータレイヤー(※)を通じて精緻な分析を行うことが可能になる。
IFSは製造業や航空宇宙・防衛産業からの需要増を背景に、7bridgesの技術を「IFS Cloud」に統合する方針を明らかにした。
今回の買収は、自律型AIエージェントを手掛けるTheLoopsの買収や、AIアクセラレーター「Nexus Black」の設立に続く取り組みであり、同社の産業AI戦略の一環と位置づけられている。
IFSのCEOマーク・モファット氏は「私たちは、産業用AIの市場をリードし、私たちの製品を差別化するテクノロジーに投資し続けていることを誇りに思っている。AIを活用したサプライチェーン最適化における7bridges独自の機能は、当社の既存の強みを強力に補完するものであり、資産集約型のお客さまに強く共感していただける。有能な専門家チームをIFSに迎えることを楽しみにしている」と述べ、専門家チームの合流に期待を示した。
※セマンティックデータレイヤー:異なるソースや形式のデータを統一的に解釈・分析可能にする技術で、AIによる高度な最適化を支える基盤。
買収効果とリスク 産業AI競争における展望
今回の買収は、IFSが産業用AI市場で優位性を確立する上で重要な一手になるとみられる。
物流分野では輸送コスト削減や業務自動化が強く求められており、7bridgesの導入により平均8%のコスト削減や業務の90%自動化が可能になった事例もある。
これらの成果は、収益改善とともに顧客基盤の拡大に直結する可能性がある。
一方で、AI依存度の高まりは新たなリスクも発生させるだろう。
データ品質の確保やサイバーセキュリティの強化は必須になると考えられるため、導入企業の運用体制が追いつかなければ、十分な効果を発揮できない懸念もある。
また、競合企業も同様にAIを活用したソリューションを強化しており、市場競争は激化すると予想される。
それでも、産業界全体で効率化ニーズが高まる中、IFSが多業種に展開できる統合型ソリューションを持つ意義は大きいと言える。
今後、同社がどの程度スピード感を持って実装を進められるかが、成功を左右しそうだ。