CTCのAIクラウド「StageCrew」北米進出 TechnologentがSaaS形式で展開へ

2025年8月18日、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は、AI活用クラウドサービス「StageCrew」を米IT企業Technologentにライセンス供与し、北米市場向けにSaaS形式で提供開始すると発表した。
CTC、AIクラウド「StageCrew」を米企業にライセンス供与
CTCは18日、独自に開発したクラウドサービス「StageCrew」を北米市場に提供開始したことを明らかにした。米国のITソリューション企業Technologent(Thomas Gallaway Company, LLC)がライセンスを受け、SaaS形式で提供を担う。
StageCrewは、システム監視やログ収集ツールと連携し、情報収集を効率化するだけでなく、インシデント対応フローを可視化することでオブザーバビリティを高める仕組みを備える。
「PITWALL」として2023年に始動したサービスで、2025年1月には名称をStageCrewに改めた。その際、画像やテキストなどの異なる種類のデータを解析可能なマルチモーダルAI(※)を搭載。管理ツールごとのダッシュボードデータを自動的に統合・分析する機能が加わった。
Technologentはエンタープライズ向けのITインフラ構築に強みを持ち、2025年2月からは米国内でのSI事業拡大や日本進出を目指す企業支援でCTCと協業している。
今回の取り組みでは、Technologentが自社のクラウド基盤を活用し、StageCrewの導入前コンサルティングから設計、PoC、導入後のサポートまで包括的に提供する体制を整えた。CTCの米国事業会社であるITOCHU Techno-Solutions Americaは、クラウド基盤の構築や保守を担当する。
※マルチモーダルAI:テキスト・画像・音声など複数種類のデータを同時に処理し、関連性を分析する人工知能技術。単一データの分析に比べ、より高度な判断や洞察が可能になる。
AI運用自動化が北米に広がる可能性と課題
今回の展開は、CTCが北米市場でAIクラウド分野における存在感を確立できるかどうかを占う試金石となるだろう。成功すれば、欧州やアジアへの水平展開も見込め、同社のグローバル戦略の中核サービスとなる可能性がある。
特に、StageCrewが持つマルチモーダルAIの強みを活かし、運用監視の標準的なツールとして認知されれば、国内外のIT運用の効率化を牽引する立場に立てると考えられる。
ただし、成長の速度は顧客の受容度と規制環境に左右されるだろう。透明性や説明可能性を高める仕組みを強化できるかどうかが普及の鍵になると見られる。
また、現地パートナー企業との連携を深め、業界ごとの特性に応じたカスタマイズを進められるかが今後の課題と予想される。
国内では既に複数のMSPサービスに採用されており、その事例を国際市場でどのように展開していくかも注目点だ。
結局のところ、StageCrewは北米におけるAI運用自動化の実証フィールドを得たと言える。ここで成果を示せるか否かが、CTCの次なる成長曲線を描く上で大きな分岐点になるだろう。
プレスリリース:https://www.ctc-g.co.jp/company/release/20250818-01942.html