マネーフォワード、AIが契約リスクを瞬時に判定　法務業務の効率化と精度向上へ

2025年8月8日、株式会社マネーフォワードは、弁護士監修のAIが契約書の審査を支援する「マネーフォワード クラウドAI契約書レビュー」の提供を開始したと発表した。
条文ごとのリスク判定や差分比較などを備え、法務業務の効率化とスキル向上を目指す。

弁護士監修AIが契約書を条文単位で自動レビュー

マネーフォワードが新たに提供を開始した「マネーフォワード クラウドAI契約書レビュー」は、AIが契約書の内容を解析し、契約リスクや不備を特定しやすくするサービスである。
このサービスの最大の特徴は、弁護士監修のAIにより、条文ごとの潜在的リスク箇所を瞬時に判定できる点にある。これにより、法務担当者は確認作業を効率化できる。

また、AIが提示するのはリスクの指摘だけではない。
変更条文の例や弁護士監修の解説文も併せて表示されるため、契約書の修正方針を立てやすく、経験の浅い担当者でも適切な判断を下しやすくなる。
結果として、法務部門のスキル向上や社内のナレッジ強化にもつながると見込まれている。

さらに、業界固有の特殊性が強い注意点や取引先ごとに設定されている注意点など、AIの汎用モデルでは拾いきれない注意点にも対応可能だ。
企業が自社の契約書ひな形をあらかじめ登録しておくことで、AIのレビュー結果と自社基準との差分を画面上で比較しながら審査を進められる。

法務の生産性と品質向上へ　AI導入が加速する契約審査

今後、契約審査における一次レビューのAI化は加速すると考えられる。
特に大量の標準契約や頻出する取引形態では、AIが初期スクリーニングを担い、人間が最終判断を行う二段階審査が標準フローとして定着する可能性が高い。
これにより、交渉初期段階から修正案を迅速に提示できるため、事業部門の機動力向上にもつながるだろう。

ただし、AIモデルは継続的な学習と改善が不可欠であるため、実務からのフィードバックを組み込む体制が鍵となるだろう。特に、業界特有のリスクや国際取引における法体系の差異など、汎用モデルが苦手とする分野を補う専門性の拡充が課題として残りやすそうだ。

最終的には、AIと人間の役割分担を明確にし、ツールが「判断の補助」として機能する環境をいかに維持できるかが、導入効果を左右することになると考えられる。

プレスリリース：
https://corp.moneyforward.com/news/release/service/20250808-mf-press-1/