xAI、アダルト生成機能をGrokに追加 著名人のディープフェイク懸念も浮上

2025年8月4日、イーロン・マスク氏が設立した米AI企業xAIは、同社のアプリ「Grok」にアダルト画像・動画を生成できる新機能「Spicy Mode(スパイシーモード)」を追加した。
生成物の内容や著名人への影響を巡り、議論が広がっている。
xAI、アダルト生成機能を搭載 Grokの新オプションに懸念の声
xAIは2025年8月4日、iOS版のAIアプリ「Grok」に新たな生成機能「Grok Imagine(グロック・イマジン)」を追加したと発表した。
この機能では、ユーザーがプロンプトを入力することで、数秒以内に画像と最大15秒の映像を自動生成できる。
同時に導入されたのが「Spicy Mode(スパイシーモード)」であり、アダルト要素を含む画像・動画の生成が可能となっている。
xAIによると、一定基準を超える露出には自動的にぼかし処理を施すフィルターが設けられているという。
xAIはこれまでも、扇情的なコンテンツを巡って論争を引き起こしてきた。
過去には、AIキャラクター「Annie(アニー)」の衣装設定が物議を醸し、反ポルノ団体「全米性的搾取告発センター(NCOSE)」が、アプリの年齢制限を18歳以上に引き上げるようAppleに要請していた。
さらに、米メディア「The Verge」は、スパイシーモードにおいてテイラー・スウィフトのヌード風映像が生成されたと報道した。
Grokは著名人のポルノ的描写を禁止していると明記しているが、実際にはその制限が機能していないと指摘されている。
表現の自由と倫理の交差点 AIコンテンツの境界が問われる
今回の機能追加は、xAIとマスク氏の「表現の自由」を重視する姿勢の一環だという分析もある。
旧Twitter(現X)でもマスク氏は、規制緩和や言論の自由を前面に掲げており、今回のスパイシーモードもその延長線上にあるとの見方だ。
一方で、アダルト生成機能は明確なメリットとリスクを併せ持つ。
創造性の拡張や成人向け市場の活性化といった可能性がある一方、著名人のディープフェイク生成や未成年ユーザーへの露出リスク、性犯罪の助長といった深刻な懸念も伴う。
特に生成AIが「現実に存在しないコンテンツ」であるがゆえに、著作権や肖像権の境界が曖昧になり、被害者の救済手段が乏しい点は国際的にも問題視されている。
これに対し、AI事業者側がどこまで自己規制を設けるかが今後の焦点となるだろう。
現時点でxAIは、自社ポリシーに則った対応を取っていると説明するが、コンテンツの自動検閲やフィルタリング技術の限界も指摘されている。
規制強化が進む中で、xAIのような企業がどのように倫理的責任を果たすのか、業界全体の在り方が問われる局面に差しかかっていると言えそうだ。